2017.10.27 Fri
#Kansai
スタイリスト マドカススムの All Time Best ITEM’S #08
Levi’sのトラッカージャケット
50年以上前に完成されたマスターピース。
僕はデニムと言えばパンツ…ではなく『Gジャン』だ。今はそうでもないが、服を好きになった10代半ばの頃は単純に似合わないというのもあったけど、ストレートのデニムパンツが苦手だった…
古着を買い始めた頃(1994年頃)も王道の「501XX」を始めとするデニムパンツの名品たちを顧みず、僕がデニムに求めたのはGジャンでした。LEVI’S[506XX 1st][507XX 2nd]は欲しかったけど、天上人すぎて手が出なかった。地元の古着屋の壁にかかってるのを物欲しそうに見上げるだけ。
他にも雑誌で見て名前だけ知ってた[Lee]や[Wrangler]のデニムジャケット達。たくさんあるGジャンの中でも僕が心を惹かれたのは、古着屋の「壁にかかってる特別なGジャン」じゃなくて、円形ラックにこれでもかとかけられた量産型ザクのようなジャケットたち。
左から80,s Boa Denim Bleach Type ¥14,040 / 80,s Boa Corduroy Type ¥16,200 /80,s 70506 White Denim Type ¥12,960 / 70,s Corduroy Type ¥13,824 / 60,s 70505 E Denim Type ¥28,080 / 70,s Suede Type/¥51,840
[70505]3rdタイプ トラッカージャケット。
本来3rdと呼ばれる品番は[557XX]。これまた球数も少なくレアだったし、値段も当時から2万〜3万くらい。一方[70505]はビッグEでも1万あれば、色落ちの良いジャケットは選び放題。と言っても、その頃の僕は[557XX 3rd]と[70505 3rdタイプ]の違いなんかに興味はなかったし「何で形が一緒なのにこんなに値段が違うんだろう?」くらいにしか思ってなかった。もちろんバイトで稼ぐお金には限界のあった高校生の自分は、安く買える方が魅力的だった。
重要なのは価値ではなくて〈あの形〉を手に入れる事だったから…。子供ながらに完璧なGジャンだと思った。
僕が選んだのは、襟や袖が破れたりほつれたりしてたけど色落ちが最高なジャケット。確か値段は7800円。前述の通り、ストレートのデニムパンツに興味がなかった僕、ボトムの中心はチノパン・革パン・ボンテージパンツetc..。それらのパンツにこのGジャンは相性抜群で、常に僕の中のレギュラーポジションを掴んで離さなかった。
革ジャンを手に入れるまで、真冬もインナーにサーマルやスウェットを重ね着しまくって着てた。当然だけど防寒の役割を果たさないので気持ちは熱いが、風邪は引いた。愛着し過ぎてボロボロになり、丸鋲を打ちつけ、最後には袖をカットオフしてハードコアなデニムベストになってしまった…。これが僕の初めての70505トラッカージャケット。
このジャケットの魅力の一つはパッと見の形は同じ様に見えるが、年代や品番で丈の長さやポケットが付いているものなど素材やディテールの多彩さにある。(※このトラッカージャケットには数限りない程の品番が存在しますが、このコラムではメジャーな品番以外は割愛させていただいています、ご了承ください。詳しく知りたい方は専門誌ではなく、お近くの古着屋で聞く事をお勧めしますよ)
僕は80年代と比較的新しいものになるが[70506]などポケットがつくタイプが今の気分。やっぱりポケット付いてると便利だしね。
後に大阪で一人暮らしを開始して、僕が始めたのは地元の倍以上ある古着屋の開拓。そこで出会ったのがスウェードタイプのジャケットだ。かれこれ20年選手になるが、もちろん今も現役でクリーンアップの役割を果たしてくれている。 が、サイズ34をジャストサイズとして愛用してきた僕も、現在はバランスを考えて「サイズアップして38くらいがちょうど良いな」とか考えている… 時の流れは恐ろしい。
今回撮影した様々な素材のトラッカージャケットは、僕が10何年前に働かせてもらっていた中崎町の古着屋「BOW&ARROW」でリースさせてもらったモノだ。今でも仕事でもプライベートでも付き合いが続いているけど、ここで色んなことを学んだ事がスタイリストになった今でも活きていて、僕の基盤となっている。
お店には、撮影したモノ以外にもたくさんのトラッカージャケットが陳列されてるので、ぜひ足を運んで見て欲しい。悩んだ時にはオールバックで強面だけど、チャーミングなオーナーとロン毛で背の高い気さくなお兄ちゃんが相談に乗ってくれるはずだ。ちなみに、僕が写真のブリーチデニムのボアジャケットを狙っているのは内緒の話。
古着屋に行けば見つかる当たり前なアイテム…これもvol6[BEN DAVIS]の回で書いたけど、今回のトラッカージャケット達も枯渇してきてるらしいので、探してる人がいれば素材やサイズが選べる今のうちに手に入れる事をお勧めしたい。
初めて手にしてから20年以上過ぎたけど、好きな物があまり変わらない僕のクローゼットには、デニムとスウェードのトラッカージャケットが今年も今か今かと出番を待っている。
Direction & Written by S.Madoka
スタイリスト
圓 進 Susumu Madoka
関西を中心に、雑誌「カジカジ」など様々なメディアで活躍中。アメ村〜堀江界隈は名実ともに自分の庭、関西のストリートファッションシーンには欠かせない一人。本人は人懐っこい人柄で犬っぽいのとは対照的に、2匹の猫をこよなく愛するネコ派スタイリスト。
スタイリスト マドカススムの All Time Best ITEM’S
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