2016.12.15 Thu
#Hyogo
【連載】
乱痴気 前川拓史の兵庫じばさんぽ。
vol.08 神戸マッチ
神戸を代表するセレクトショップ「乱痴気」の代表、前川拓史さんが兵庫県内の民工芸の地場産業を訪れ紹介する連載企画。第8回の今回は神戸の下町、苅藻『神戸のマッチ』へ訪問です。
神戸マッチ Kobe City
戦前は神戸の輸出産業ベスト3に 入っていたマッチ産業。 戦後は様々な業種の広告マッチとして 国内に広がっていきました。 しかし、ライターの普及が影響し 生活で使う機会が減ってきてしまいました。
『灯と点』
『じばさんらんちき』から車で10分程度。今回訪れた先は、明治43年から神戸でマッチを作り続ける『ナカムラ』さん。マッチって言っても今の若い人たちは、ピンと来ないかもしれないので、マッチについて少し語りましょう。マッチの製造は、明治の初期に東京で始まった後、全国に広がり最終的に輸出に適した神戸港を有する兵庫県がマッチ製造の中心地になったそうです。明治から大正にかけ、日本はスウェーデン、アメリカと並ぶ世界三大マッチ生産国となり、戦前は神戸の輸出産業ベスト3にマッチ産業が入っていたそうです。戦後は様々な業種の広告マッチとして国内に広がっていきましたが、やがてライターの普及などで現在は、生活の中でなかなか見かける事が無くなってしまいました。
マッチを指先の感覚で22本に纏めていく職人さん
工場長は往年89歳70年近くこのマッチ工場で働かれ、今も現役
僕が小さい頃は、家に徳用マッチが必ずあって、色々な場面でマッチを使っていた記憶があります。おじいちゃん、おとうさん、おじちゃん、みんなタバコを吸っていたし、おじいちゃんの家には火鉢なんかもあったから徳用マッチは家庭に一台必須でしたね。
大人たちが煙草をくわえマッチを擦って火をつける、そんな動作がカッコよく見えたものです。タバコやマッチのパッケージのデザインは、どこか舶来物の感じを醸し出し、外国への憧れを積もらせていました。そんな僕も今はタバコも止めているし、マッチを擦る機会はぐっと減りました。ただ、墓参りに行った際、線香や蝋燭に火を付けたりする時は、やはりマッチを擦ります。ライターでは風情がありません。
最近、僕の周りのタバコを吸う人たちはマッチを持っている率が高くなっています。エコの観点でもマッチの小箱は再生紙を利用し、軸木は用途の少ない雑木を使用し、擦った後も家庭用ごみで廃棄焼却されダイオキシンも発生せず全て土に還ります。
今の時代、再びマッチが見直されてもエエのではないでしょうか。皆でマッチを持ちましょうよ! マッチだけに新たなブームに火を灯したいですね。
<ナカムラ>のレトロマッチ
時代が変わっても色褪せないグッドデザイン。
¥200 / じばさんらんちき
前川拓史
神戸を代表するセレクトショップ「乱痴気」の代表。2008年から、兵庫県内の地場産業と一緒に物づくりをする「兵庫じばさん」プロジェクトをスタート。以来、毎週のようにあらゆる産地を訪ねている。
じぱさんele
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