2016.05.05 Thu
#Hyogo
【連載】乱痴気 前川拓史の兵庫じばさんぽ。
vol.01 播州織
神戸を代表するセレクトショップ「乱痴気」の代表、前川拓史さんが兵庫県内の民工芸の地場産業を訪れ紹介する連載企画の第1回目。まずは北播磨、多可郡多可町“播州織”の産地へ訪問です。
播磨織 Hyogo Nishiwaki around
西脇市を中心とした地域で 生産される綿織物。 先染めによる平織りが有名で、 主にシャツ地として利用される。 かつては、欧米はもちろん、 中東やアフリカにまで輸出され 世界中のブランドが その生地を使用してきた。
『埃と誇』
神戸市内から車で1時間半程度。訪れた先は、家族で機屋(織物工場)を営む、小円(こえん)織物さん。創業者の“小林円次”さんの、苗字と名前から一文字ずつを取って小円織物と名付けたと、円次さんの孫にあたる三代目一光くんが教えてくれました。
一光くんは、播州織の機屋の中でも最年少。高校を卒業して直ぐに、お祖父さんの「機屋を継がせるなら次男坊やけど一光」とお達しがあり、泣く泣く家業を継いだそうです。そらそうでしょう、その年頃は、友達と遊んだり、恋をしたり、青春ド真ん中っすよね。うちの愛娘に「大学進学をあきらめて、会社を継いでくれ」なんて言ったら...恐ろしくて想像もできません。
家業を継いだ当初は、とりあえず仕事をこなす日々が続き、やりがいもあまり感じなかったそうですが、機織りの難しさと楽しさを、お父さんに教わり、母さんの支えを肌で感じ、そして何より、可愛い奥さんと、去年生まれた息子の存在がデッカイんでしょうね、機屋の三代目としての、やり甲斐と自信が芽生えてきています!
神棚に祭られているのは、創業当時から毎年、家族揃って元旦にお参りする、京都伏見稲荷の提燈。工場の入り口に飾られた絵は、相撲好きの、今は亡きお祖父さんが描いた、千代の富士関。
どれも織機から出る、糸くずの“ほこり”を被って、真っ白ですが、この積り積もった“ほこり”は、お祖父さん、お父さん、一光くんと、三代に亘って受け継がれる播州織、小円織物の“誇り”なんやろね~!
播州織 小円織物の手ぬぐい 各¥1944 / じばさんエレ
吸湿性と通気性に優れたガーゼ生地を使用。 空気をまとっているような軽さや柔らかさが魅力的です
前川拓史
神戸のセレクトショップ「乱痴気」代表。 2008年から、兵庫県内の地場産業と一緒に物づくりをする「兵庫じばさん」プロジェクトをスタート。 2013年には、地場産業を扱う「じばさんエレ」をオープン。
じぱさんele
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