2019.03.03 Sun
#Kobe
【連載】
乱痴気 前川拓史の兵庫じばさんぽ。
vol.17 アラジン
電気では味わえない炎ならではの暖かさ。やはり暖房器具の王様は石油ストーブです。神戸と姫路の真中辺、高速道路を降りると辺り一面は黄金色。稲穂を垂らし刈り取りを待つばかりの田園地帯に現れる(株)千石の<アラジン>工場に訪問です。
アラジン Nishiwaki City
1930年代にイギリスで設立。当時はイギリス製の製品を輸入して日本でも販売していましたが、現在は日本の安全基準に合わせるため、国産へシフト。兵庫県にある〈(株)千石〉が一任する。代表作「ブルーフレーム」は、西脇市にある工場で、ハンドメイドで組み立てて製造されている。
『燈と灯』
新聞の片隅で見かけた記事で、僕ら昭和世代の人にとっては懐かしいあの銘品<アラジン>のブルーフレームが兵庫県で生産されていると知り、ビックリしました。誰もが知っている<アラジン>ですが、その歴史は古く、1930年代にイギリスで設立。もともとイギリス製を日本へ輸入していたのですが、1970年代になるとイギリス製の部品を輸入して、日本で組み立てるようになりました。その後、日本の安全基準に合わせていくうちに徐々に国産になっていったそうです。
おなじみのブルーフレームを初めとする<アラジン>の製品は、今は加西市にある(株)千石さんが製造されています。工場があるのは播州織の産地、西脇市。現在の工場は、元々播州織を織っていた工場で、のこぎり屋根が特徴的。そんな風情を感じる工場に入って直ぐの一角で組み立てられる<アラジン>の製品は、工具を持ってスタンバイしている6人組の女性工員さんによって組み立てられていきます。部品を乗せたキャスター付きの小さなワゴンがグルグルと回り、女性ならではのしなやかな手つきで、一台一台丁寧に組み立てていきます。その様子は、まさに手づくりのメイド・イン・ジャパンなのです。この方法は、1日100個(※ブルーフレームの場合)作るのが限界だそう。完成したブルーフレームの燃焼テストを見せてもらったのですが、綿の芯に灯った青い炎の美しさに、ついつい見とれてしまいました。
そんな<アラジン>が、昨冬シーズンより<ビームス ジャパン>とコラボレーション。藍色を採用したブルーフレームの限定200台の販売は即完売。今冬シーズンでは第2弾としてグレーカラーのモデル、さらにコラボ初となる別注ポータブルモデルもリリース(3/1現在完売)。このコラボレーション、実は、僕と<ビームス ジャパン>の鈴木さんとが一緒に兵庫県内の産地巡りをしていた旅の道中、車中にて一緒に思いついたアイデアなんです。約80年以上変わらないデザインで炎を灯し続ける<アラジンス>のブルーフレームに新たな炎が燈りましたね。
BEAMS オンラインページ
www.beams.co.jp/category/interior_15
前川拓史
神戸を代表するセレクトショップ「乱痴気」の代表。2008年から、兵庫県内の地場産業と一緒に物づくりをする「兵庫じばさん」プロジェクトをスタート。以来、毎週のようにあらゆる産地を訪ねている。
じぱさんele / じばさんらんちき
【過去記事】
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