2016.10.30 Sun
#Osaka
太陽の塔、その知られざる内部に潜入!
【人類の進歩と調和をそこに見た… 編】
10月29日、30日に大幅改修前の最後の内部一般公開が行われる太陽の塔。その一般公開で見ることのできる1階部分は前回レポートしたとおり。今回はさらに太陽の塔内部の深部へ… 最上階6階を目指して進む。経年劣化により一部立ち入ることが不可能な場所もあったが、それでもほぼ全ての場所を探ることができた。ついにその牙をむく「太陽の塔」本当の姿をお伝えしよう。
1階から2階、さらに上部へ
塔の内部は今まで本格的な整備が行われていなかったため、いたるところに当時、使われていたであろうかなり劣化のある照明や棚、配線などが落ちている。壁面はひび割れているところもあり、床には埃が積もっていて歩くたびに足跡がつく状況だ。そんなディストピア的風景に逆にテンションアップしながら、非常階段を使い上の階に向かう。
2階から3階へ上る非常階段は当時はスタッフだけの通路だったと予想される。
「生命の樹」生物の進化を追う
生命の樹は根元から三葉虫時代、両性時代と時を刻んでいく。リアルに再現された生物の誕生初期の象徴、イカやアンモナイト。ほこりまみれで折れている部分もあるが今にも動き出しそうな躍動感は健在だ(実際多くの展示生物は当時、電動で稼働していたとか)。
両生類時代の階層から上を見上げると、大迫力の恐竜が目に飛び込んできた。1階からは分からなかったが、上に上がると様々な生物が生命の樹のまわりに配置されている。
さらに上を目指す我々。壁には6Fの文字、ついに最上部へたどり着いた。
いよいよ「太陽の塔」内部、最深部に到着。
これが最上階の様子。この6階部分は太陽の塔の左右の手の根元部分にもあたり、写真奥の大きな穴は、太陽の塔の左手にあたる部分。手前、生命の樹にはゴリラ(オランウータン?)が配置され、生命の進化もいよいよ霊長類にまで。
ドン。さきほどお伝えした左手の内部。太いフレームが奥に伸びていく様子に圧倒される。ずっと眺めていても見飽きない光景。階段の先は当時あった空中展示場へと続いていたそうだ。
こちら反対側の右手の部分にはエスカレーターが設置されていて、こちらも空中展示場へとアクセスしていた。当時は両脇がライトアップされ、どこか別世界へ続く未知なる未来への入り口のように感じただろう。
1970年の写真
太陽の塔の手は全長25メートル。その手を囲うように空中展示場が造られ、万博会場を見渡せる大パノラマが広がっていたはずだ。
そして、これが太陽の塔の最上部の天井。海のような空のような、永遠に続いていくように思える空間。宇宙、人間、精神… そういった無限を表すのだろうか… 岡本太郎の凄みをとことん感じるのみ。
ひるがえって、下を見れば今まで上ってきた生命の経過。真っ赤な光景は血液のような、マグマのようなエネルギーが沸いているよう。
これで塔の内部の観覧は終了。想像以上に楽しませ、驚きを与えてくれる場所だった。確かに配線がちぎれてぶら下がっていたり、人形の足が取れていたりと約半世紀を刻んだ「疲労」は顕著に表れていた。それでも、音、光、造形物の迫力と躍動感は健在だった。
ここで感じたのは、いわゆる「夢の跡」といったネガティブなイメージではなく、むしろ逆。1970年当時、ここに訪れた多くの人が持っていた、未来に対する希望や想像の力が羨ましく思えた。それは、その時代だからこそ持ち得た特別なモノだったかもしれないが…。
太陽の塔は一般公開終了後、「太陽の塔内部再生」事業として耐震工事とあわせて「生命の樹」や「地底の太陽」など内部の展示物を当時の姿にできる限り再生して改修工事が行われる。工事が終了し一般に公開されるのは2018年3月になる予定だ。
Report / Yukako Okada
太陽の塔
吹田市千里万博公園1−1
万博記念公園「太陽の広場」
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