2018.04.16 Mon
#Kyoto
「街をくまなく見つめ、“いま”の魅力を紡ぐ再編集長」早志 祐美
Monday Morning Girl #36
月曜、朝の女の子 36人目
早志 祐美 Yumi Hayashi
学生 / 再編集長
おはようございます。
ある月曜日の朝、待ち合わせは植物園で。「一年生のときに“100種の植物を描く”という課題があって、それ以来よく来るようになったお気に入りの場所です」。今日の女の子、祐美ちゃんはこの春京都の芸術大学を卒業する。
*取材時は3月
今年の3月はしばらく肌寒い日が続き、まだ寂しい色が多い植物園で一際目立つ満開の桜。「カラミザクラ…辛味? 絡み? なんだろう」なんて笑っている。「ネットはあまり得意じゃないんです」。情報収集はもっぱら本屋さんで、おみそ汁がついてくるような肩肘張らない街の洋食屋さんが好き、その素朴な感性がたまらない。
4月からは、工芸品を主軸とした製造小売業のお店で販売員となると言う。「中学生くらいから工芸や骨董の類が好きでした。就職先のお店には高校生のときから通ってたんです。中高生のときはさすがにちょっと浮いてましたね〜、大学に入ると素直に個性を表現する子たちばかりで全然大丈夫だったんですけど(笑)」
製品デザインに関わるために、まずは販売員から経験を積んでいくそうだ。そもそもプロダクトデザイナーを志したのは、誰かの宝物になるようなモノをつくりたかったから。「収集癖があるんです。雑貨や文房具など人からはガラクタに思えるようなものまで。捨てられないんですよね」。中身ではなく包装紙を求めて東京の老舗菓子店を回ったこともあるとか、かなりガチ。
これまで集めてきた、祐美ちゃんの宝物の一部
その集大成として、卒業制作では自らを“再編集長”と名乗り、西陣エリアのさまざまなコトやモノを収集。集めたたくさんの要素を編集し直し、冊子とすごろくにまとめた。最初からこれらを作りたいと考えていたわけではなく、この街をリアルに体験できる仕組みをつくったこの姿になったそうだ。
街は常に動いて日々変化している。住む人が、時代が、その空気が街の色を変えていく。伝統、食、住まい、観光。それぞれの要素から西陣の街を編集し直す。「再編集冊子」では街の人の声や文化、歴史などズームアップした西陣を。「街歩きすごろく」では街の距離感や位置関係、周りの様子など街全体を俯瞰した西陣を。ズームアップと俯瞰、ふたつの見方をすることでより立体的な西陣の街のいまが浮かび上がる。日々変化する街の息づかいを感じてほしい。
再編集長 早志祐美
町家も多く織物の街としての伝統を色濃く残しつつも、近年カフェやショップの出店などが相次ぎ、古さと新しさの両方を兼ね備えるエリア“西陣”に魅力を感じこの一年を捧げてきた。本を手に取ってみるとその愛がよ〜く伝わってくる。おすすめのお店などライトなコンテンツもあるが、街に潜むマンホールに目を向けたりと、西陣をくまなく観察。「全部ひとりでやっちゃいたい!」。圧巻のボリュームなのに文章、写真、イラストは全て一人で手がけたそうだ。「人一倍、動き回っているんじゃないかな。でも回り道も楽しいから、失敗してもいいんです」。
「無いと不安になるから」とこのリュックにスケッチブック、パソコン、カメラ、予備のバッテリーなどパンパンに詰め込んで街を探索した。
実は祐美ちゃん、広島の店舗で働くためこの春で関西を離れる。初めての一人暮らしを前に、いまは食器や雑貨を買い集めている最中。寂しさや不安はもちろんあるが、こだわって選んだお気に入りのモノたちに囲まれる暮らしにわくわくが止まらないという。「街を再編集し魅力を伝えることはライフワークとして広島でもできたらいいな」と、2号目に期待が高まる。
それでは、今日もがんばっていきましょう。
現在「西陣再編集」はマガザン キョウトのみで販売中。
残り僅かだそうなのでお求めはお早めに!!
MAGASINN KYOTO [マガザン キョウト]
京都市上京区中書町685-1
Monday Morning Girl #36
Yumi Hayashi
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