2016.08.31 Wed
#Kobe
【連載】
乱痴気 前川拓史の兵庫じばさんぽ。
vol.06 神戸家具
神戸を代表するセレクトショップ「乱痴気」の代表、前川拓史さんが兵庫県内の民工芸の地場産業を訪れ紹介する連載企画。第6回の今回は神戸家具の産地、神戸木工センターへ訪問です。
神戸家具 Kobe City
明治の初め。 海外との貿易が盛んだった 神戸の外国人居留地にて、 船大工たちによって 海外の家具を修理したことが始まり。 その後、名家の応接間を飾る 高級家具として発展していった。
『義と技』
絶好の秋晴れに恵まれた“じばさんぽ”。今回訪れた先は神戸三宮から約30分、垂水区の『神戸木工センター』にある“神戸家具”の<シンガロング>です。僕がプロデュースする『じばさんele』や『じばさんらんちき』の内装、家具一式を手掛けてくれています。“神戸家具”の技術や伝統を受け継いだ製造会社が集まる『神戸木工センター』は、今年で50年。当初は50軒近くあった工場も阪神大震災や社会情勢などもあり、現在は10軒を切ってしまいました。しかし、最近では歴史や伝統を受け継ぎたいとの意思で<シンガロング>のウツミくんを筆頭に、女性や若者達が神戸家具の技術を習得しに集まってきています。
ウツミくんとの出会いはライブハウス(もう20年以上も前になるかな?)。髪を逆立てて、ヘタッチョギターを弾いてパンクロックを唄っていたのを聴いたのが最初です。「人に習うんとか嫌やなぁ」とか言っているウツミくんに「取りあえず5年は我慢しいや」と、ここ木工センターで、技術の習得を薦めたような記憶があります。以来、お店に置く家具や什器なんかを、ちょこちょこ作ってもらっていました。
<シンガロング>のウツミくん(中央)と、若手の職人さん
神戸家具は、明治の初め、海外との貿易が盛んだった神戸の外国人居留地で、ヨーロッパから持ち込まれた家具の修理をしたことが始まり。想像ですが、最初に洋家具を修理した船大工さんも自分らの技術が歴史に名を刻むなんて、誰も思っていなかったのではないかな。港に集まってる、ちょっと気の荒い大工のおっさん達が、外人からの依頼に「こんなん楽勝やろっ!」「あの外人には世話になっとるから直しとったろか!」とか言いながら、小遣い稼ぎに修理して「さー、一杯ひっかけに行こか!」ってな具合やったんと、ちゃうかな? 少なくともウツミくんは、そんなタイプ。一度『じばさんらんちき』にウツミくんの作った家具や什器を見に来て下さい。緻密に計算され、思わず笑ってしまうような小物がちょうど良いバランスで収まっていますから。伝統や歴史は指して重んじませんが、義理と人情重んじるFrom Bay Side Cityです。
シンガロングの折りたたみチェアー¥23760(レザー)、¥21600(帆布) / じばさんらんちき
ウツミくんが手がける折りたたみの椅子。 座面は、松右衛門帆とたつのレザーを使ったタイプの2種類。
前川拓史
神戸を代表するセレクトショップ「乱痴気」の代表。2008年から、兵庫県内の地場産業と一緒に物づくりをする「兵庫じばさん」プロジェクトをスタート。以来、毎週のようにあらゆる産地を訪ねている。
じぱさんele
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