2016.07.20 Wed
#Hyogo
【連載】
乱痴気 前川拓史の兵庫じばさんぽ。
vol.04 肥後守
神戸を代表するセレクトショップ「乱痴気」の代表、前川拓史さんが兵庫県内の民工芸の地場産業を訪れ紹介する連載企画。今回は、“肥後守”発祥の地、三木市へ訪問です。
肥後守 Miki City
100年の伝統を誇る、兵庫県三木市の伝統産業。明治27年ごろ、金物問屋『重松太三郎氏』が鹿児島から持ち帰ったナイフを元に改良したナイフが発祥。当時は爆発的にヒットし、世間に広がっていきました。
『守と神』
神戸から新神戸トンネルを抜け北西へ約一時間。今回訪れた先は金物の産地で知られる三木市の『永尾駒製作所』さん。ここでは創業以来、肥後守(ひごのかみ)を製造し続けています。
そもそも、肥後守ってみなさんご存知ですか? 僕ら、オッサン世代はガキの頃に一度や二度は、手にしたことがあるんです。鉛筆を削ったり、竹とんぼを作ったり。見た目もかなりエエです。
肥後守って名前からは、なんとなく九州方面のモノを想像してしまいますが、実は神戸のお隣、三木市が発祥なんです。約百年前に鹿児島から持ち帰ったナイフを元に製品を改良し、現在の形になったそう。当時、取引先の多くが九州熊本だったことから、名前を『肥後守ナイフ』と称し販売したことにより大ヒットしたそうです。
現在では、創業明治27年、100年の伝統を誇る「肥後守」を作る鍛冶屋さんは、今回取材させて頂いた永尾駒製作所の五代目、永尾光雄さんだけ。でも、手しごとの技術と折りたたみ形状の美しいデザインが見直され、現在では日本国内は元より海外からもオファーがたくさんあり、半年待ちの状態なんです。実は、僕もパリの有名店の発注を取り次いでいて、慣れない英語で必死にやり取りしてます。
せっかくなので製造工程を見せて頂きましたが、真っ赤に燃える炎に、とび散る火花、カンカンカンと槌を打ち付ける音が響く作業場で、汗を流しながらも働く職人さんたちは男なら絶対に憧れます。僕も思わず見とれてしまいました。手間を惜しまず、刃を叩いて焼き入れをする行程で少しずつ変化する刃の色で完成を見極める眼光は鋭く、守(かみ)だけに神業(かみわざ)ですな!
肥後守ナイフ¥2160〜 / じばさんランチキ
ハンドメイドで作られる簡易折り畳み式ナイフ。 洗練されたデザインゆえ、ヨーロッパをはじめ世界中で評価されている
前川拓史
神戸を代表するセレクトショップ「乱痴気」の代表。2008年から、兵庫県内の地場産業と一緒に物づくりをする「兵庫じばさん」プロジェクトをスタート。以来、毎週のようにあらゆる産地を訪ねている。
じぱさんele
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