2016.05.28 Sat
#Osaka
【SPL インタビュー】
注目人、サディアス・オニール。
「ひと言で例えるなら“最高峰の家着”。出かける時に着替えなくてもいい上質でカッコいい服を目指しています」
ここ数年、NYを拠点とする数多くのブランドが関西のストリートシーンを賑わせているけれど、なかでも我々が気になっているのが、<サディアス オニール>。取り扱いショップの一つである『パブリック』で実際の服を見た時に、メイド・イン・USAおよびアメカジアイテムに着いて回る“旧き良きホニャララ”とは一線を画す、繊細さと大胆さを併せ持ったアートのような印象を受けた。そんなことを思いつつラックにかかる新作を眺めていると、「今度、サディアス オニールのポップアップショーが決まってん。もちろん、デザイナーのサディアス本人も来てくれる」とスタッフの眞木さん。そんなわけで、去る5月中旬の週末に『パブリック』1階のカフェスペースで開催されたイベントにお邪魔。サディアスさんにお話を伺いました。
―サディアスさんの服を拝見した時、着飾るためのモノではなく、日常をより心地良く過ごすためのモノ。気分がアガるという部分で、アートに近いような印象を抱きました。
「そう感じてもらえたなら嬉しいね。ファッションに限らず僕にとって日々の生活すべて、むしろ生きていること自体がアートなんです。例えば、このカフェにあるものにしても一つひとつが美しく見えます」
―あのブルース・ウェーバーと旧知の仲ということですが、その辺りも関係しているのでしょうか。かつてはアシスタントとして師事されていたそうですが。
「ブルース・ウェーバーとは僕が5歳の頃から知り合いで、よく写真を撮ってもらっていました。アシスタントの期間はとても短かったけれど、昔から家族ぐるみの仲だったこともあって美意識など感覚的なものを学びましたね。学ぶといっても、これはこうと教えてもらったわけではなく、彼の背中を見ながらいろんなことを吸収できたと思っています」
―では、服づくりに関してはいかがでしょうか。9歳の時から数えて30年以上もサーフィンをされているそうですが、サーフスタイルというのは意識されているのでしょうか。
「確かにサーフィンはインスピレーションの源ではあるけれど、特定のスタイルを模しているわけではない。子供の頃から変わらないサーフィンに対する深い愛情、強い想いをファッションで表現しているような感覚ですね。海にいる時や街を歩いている時もアイデアが湧くことがあるけれど、自然を感じてリラックスしている時が一番いろんなことを思いつきます。そう、“リラックス”がキーワード。服をつくる時はまず生地の選定から始めて、そこからシャツを作るのか、はたまたパンツにするのかを決めます。ブランドを始めた頃も今も素材ありき。素材がいい服を着ていると、家族や仲間といる時にすごくリラックスして過ごせますよね。これからの時代、街に出かける時だけでなく家にみんなを呼んで何かを楽しむ時も、心地のいい服を着たいという欲求が増えていくはず。特に最近はオフィスに行かなくても家で仕事できますしね。ひと言で例えるなら“最高峰の家着”。外に出かける時にわざわざ着替えなくてもいい上質でカッコいい服を目指しています」
―確かに、自宅でも街中でも常に心地良く過ごしたいですし、そもそも着飾らないという概念がすごく新鮮に感じます。この春夏で5シーズン目となりますが、最後に今後の展望を聞かせてください。
「素材の良さを理解してくれる日本や韓国、中国といったアジア、それにヨーロッパに向けてアプローチしていきたい。アメリカ? ん~、昔も今も消費のスピードが速いから(笑)。ただ、ラグジュアリーブランドのようにビジネスのスケールをどんどん大きくしたいわけではなくて。素材のクオリティを維持できる規模が理想で、何より僕自身が日々リラックスして楽しめることが大前提です」
サディアス・オニール
写真や執筆、造形美術などを通して世界中を旅し、現地で生地を見つけては自分で着るための服を制作。2014年春夏から自身の名を冠したブランドをスタート。「様々な国で得たインスピレーションをカタチにするという意味では、写真も映像もファッションもほぼ同じことだと捉えています」。
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