2018.01.04 Thu
#Kobe
【連載】
乱痴気 前川拓史の兵庫じばさんぽ。
vol.13 神戸地ソース
神戸を代表するセレクトショップ「乱痴気」の代表、前川拓史さんが兵庫県内の民工芸の地場産業を訪れ紹介する連載企画。久々の今回は地元神戸の地ソースを製造する、王子公園にある 『プリンセスソ-ス』さんに訪問です。
神戸地ソース Kobe City
実は神戸は、日本国内におけるソース発祥の地。明治維新や文明開化の時代に神戸には美味しい肉があるのに、どうして日本には美味しいソースが無いのでしょう?」と言ったのがソース開発の始まりだそうです。現在は、兵庫県内には、神戸に7社、明石・尼崎・姫路・篠山・伊丹を含めると、合計12社のソースメーカーがあります。
『王子と王女』
阪急王子公園駅は神戸っ子には馴染のある駅。幼稚園の遠足の定番『王子動物園』に、陸上競技やアメフトの聖地『王子スタジアム』、東口から延びる下町情緒あふれる『水道筋商店街』、お嬢様女子学生が日傘をさして登校する通学路を上るとテニスコートに弓道場。個人的にはロケット型のジャングルジムが有る『ロケット公園』も大好きです。なぜこんなに詳しくて、思い入れが有るかと言うと、ここら辺は僕が幼少期を過ごした、地元の中の地元なんです。
今回訪ねたのは、そんな王子公園駅から徒歩5分、アーチ型が美しい阪急電車の高架下にある『プリンセスソース』さん。地ソースにめっちゃ詳しい長田の酒屋『ユリヤ』さんの紹介で初訪問。工場に近づくにつれて、ソースの甘辛ええ匂いが漂ってきます。迎えて頂いたのは2代目のヤスヒロさん。ありきたりですが、「創業してどれくらいですか?」と質問すると、「よう分からんのですわ!(笑)」との答え。創業者である親父さんの記憶が定かではないとのことで、「確か国体道路ができた頃なんやけど…」とヤスヒロさん。この“国体道路”と言うのは工場の目の前を通る幹線道路“神若線”の愛称で昭和31年の兵庫国体のマラソンコースとなったことで名付けられました。僕のおばあちゃんも何かあったら“国体道路”を基準によく話をしていたのを思い出します。
訪問は初めてでしたが、ここのウスターソースは以前から愛用。クセがなくて、まろやかな甘みに加え、ほんのりと香るニンニクが隠し味。焼きそばやフライものにめっちゃ相性が良いのです。神戸の地ソースの中でも一番規模が小さく、約10坪の工場で製造。今は親父さんも引退されてヤスヒロさんが製造から配達まで一人でこなしています。興味津々で色々と質問させてもらいましたが、「普通に、普通に」と連呼し、僕から見たら全然普通ではない事を笑いながらサラッと言ってのけるヤスヒロさんは、漢字で“普康”と書きます。名は体を表すと言いますが、王子公園に在るのに、プリンセスソースとはこれいかに。ヤスヒロさん、普通に神戸地ソース界のプリンスになってくださいね!
プリンセスソース
神戸市灘区城内通5-7-5
Tel:078-861-4050
11:00〜13:00
左から、プリンセスソースのどろから¥700、とんかつソース¥500、ウスターソース¥500。 ニンニクが効いた、奥深い甘みがやみつきに
じばさんらんちき(Tel : 078-371-3939)
前川拓史
神戸を代表するセレクトショップ「乱痴気」の代表。2008年から、兵庫県内の地場産業と一緒に物づくりをする「兵庫じばさん」プロジェクトをスタート。以来、毎週のようにあらゆる産地を訪ねている。
じぱさんele
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