2017.08.14 Mon
#Hyogo
【連載】
乱痴気 前川拓史の兵庫じばさんぽ。
vol.12 淡路瓦
ついに大台、50代を迎えた神戸・ランチキの代表 前川拓史さんの“じばさんぽ。”今回は、二回目の淡路島、南あわじ市の新崎製瓦所『甍ト(イラカト)』さんへ訪問です。
淡路瓦 Awaji Island
淡路島の地場産業“瓦”は日本三大瓦の一つで、約400年前から淡路島の中でも南側に位置する南あわじ市を中心に製造されており、美しい銀色をしているいぶし瓦が特徴です。
『傍と瓦』
淡路島の南西、津井地区でおじいさんの代から製瓦業を受け継ぎ、現在は工場を受け継いだお父さんと、鬼瓦等を支える接合部を製作する“道具師”のお兄さんと、手作業でしか出来ない鬼瓦を制作する“鬼師”の弟さんで営む家族経営の小さないぶし瓦工場。その工場の傍らで、瓦だけでなく、より生活の中に溶け込む小物も作りたいという思いから生まれた<甍ト>を手がけるのがミヤコさん。
お祖父さんの代から守り続ける伝統と技術は、姿形は変われど、息子、孫、ひ孫へと受け継がれていく
道具師の兄、将和さんが作る干支
僕が淡路島の窯元<樂久登窯>さんへ遊びに行っていた時の事、作家の西村くんに「瓦工場の娘さんで面白い人がいるんですよ」って紹介されたのが<甍ト>のミヤコさんとの出会い。瓦の材料で作ったタイルを持って登場したミヤコさん、初めて見たタイルは淡路瓦の特徴的ないぶしの銀色ではなく、綺麗な青色でした。そのタイルの色は僕が育った実家の屋根瓦と同じ色で、タイルから醸し出すノスタルジックな感じは、単にモノの色や形だけでなく、もっと奥底からジワ~っと滲み出ている感覚だった事を覚えています。
海と山に囲まれた穏やかな小さな村で脈々と受け継がれる技術と伝統、いい意味で緊張感のある工場にミヤコさんが娘のイッちゃんを連れて楽しそうに工場へやって来ると、ホッと緊張感がほぐれ、心地の良い空気が流れます。私は「職人じゃないから」と言うミヤコさんですが、小さい頃から工場で育った環境から生まれる物は、アート作品ではなく、僕はそこに職人技を感じます。
淡路島の空や海の様な青色の瓦はミヤコさん、その光を受けて輝くいぶしの瓦はご兄弟、そして、厳しくも優しく見守る鬼瓦はお父さん。そして、お母さんが小さかった頃と同じ様に工場の傍らで、すくすく育つ愛娘のイッちゃんは、どんな瓦になって輝くのでしょうか?
<甍ト>のタイル
まるで淡路島の空や海のような、鮮やかで深みのあるブルーの釉薬をかけたタイル。コースターやなべ敷きとしても使える。
サイズ小 ¥2100 / じばさんらんちき(Tel:078-371-3939)
前川拓史
神戸を代表するセレクトショップ「乱痴気」の代表。2008年から、兵庫県内の地場産業と一緒に物づくりをする「兵庫じばさん」プロジェクトをスタート。以来、毎週のようにあらゆる産地を訪ねている。
じぱさんele
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