Fashion & culture web media from Comepass
Facebook Twitter LINE

2016.04.22 Fri

#Osaka

“民藝”とはなんだ? を知る、丹波の陶磁と染織の集い。

“民藝”とはなんだ? を知る、丹波の陶磁と染織の集い。

#壺#大阪日本民芸館#民藝

Facebook Twitter LINE

 ここ最近よく耳にする“民藝(みんげい)”という言葉。なんとなくイメージはできるけど、実はよくわからないって人も多いですよね? 柳宗悦(やなぎ むねよし。1889-1961)って名前を聞いたことはありますか? 日本が誇るインダストリアルデザイナーである、あの柳宗理の実父であり、思想家や宗教哲学者として著名、そして“民藝運動の父”とも呼ばれる人物です。

 

 そもそも“民藝”とは“民衆的工藝”の略語です。民衆が生活の中で必要としている品、その美しさに誰よりも早く気づいた柳宗悦が、美の認識が近い、陶芸家の濱田庄司、河井寛次郎らとともに提唱した生活文化運動が“民藝運動”。そしてその中で、名もなき職人たちの手から生み出された日常生活の道具を“民藝=民衆的工藝”と名付け、華美な美術品にも負けない美しさがあると唱えました。1926年、今から90年前の出来事です。それからも脈々と続いてきた民藝は、いまも変わらず、僕らの生活に欠かせないものとなっており、近年その素朴で実直な美しさに改めて注目が集まっています。

 

 

灰釉大壺

灰釉大壺

灰釉窯変壺

灰釉窯変壺

灰釉窯変壺

灰釉窯変壺

赤土部流掛徳利

赤土部流掛徳利

 

 

 全国各地に存在する民藝ですが、ここ関西にももちろん、それは存在します。その中のひとつであり、代表的なものでもある“丹波地方の民藝”にスポットを当てた丹波焼と丹波布の特別展示「丹波の民藝 -陶磁と染織-」が、こちらも関西を代表する民藝館、大阪日本民芸館にて行われています。

 

 日本六古窯のひとつである「丹波焼」は、前述の柳宗悦が晩年に力を注いで収集した陶磁器。1927年ごろ、丹波布を調査する旅の途中、職人たちの自由で生き生きとした仕事ぶりに惹かれた柳は、丹波ならではの“灰かぶり”と呼ばれる自然釉が生み出す陶磁器を、人智を超えた美として、高く評価しました。一方の「丹波布」は、“つまみ糸”と呼ばれる絹の屑糸を、間隔をあけて緯糸に織り込む特徴的な手織りの木綿布のこと。手紡ぎ手織りによって生まれる風合いや天然染料による深い色合いなど、その縞柄の布もまた、柳に賞賛されることに。

 

 

福永 世紀子 作 丹波布(部分)

福永 世紀子 作 丹波布(部分)

小谷次男 作 丹波布(部分)

小谷次男 作 丹波布(部分)

 

 

 今回の展示では、大阪日本民芸館所蔵の丹波焼、丹波布とともに、丹波立杭で作陶を行った生田和孝(1927-1982)の陶芸作品など、併せて約90点を展示。さらに兵庫県陶芸美術館所蔵の丹波焼や、丹波布の復興に尽力した足立康子(1925-2014)の丹波布の着物や帯地なども展示されるなど、じっくりと味わいたい、深く美しい内容に。

 

 また、武内 晴二郎の陶芸作品や、柳悦孝による着物、芹沢銈介を中心とした染色家グループ“萌木会”の大型の染色作品など併設展示も実に魅力的。

 

 しかも、5月14日(土)〜5月15日(日)には、現在、関西圏で活躍している作り手が約14名集まり、陶磁器や染織品、木工品などを展示即売する「みんげい市」(入場無料)も開催されるなど、もう見逃すことはできません。

 

 

白釉流掛壺

白釉流掛壺

生田和孝 作 糠釉鎬手深鉢

生田和孝 作 糠釉鎬手深鉢

生田和孝 作 掛合釉鎬手大皿

生田和孝 作 掛合釉鎬手大皿

生田和孝 作 糠釉瓜瓶

生田和孝 作 糠釉瓜瓶

 

 

“民藝”とは何か、その美しさの源はどこにあるのか? その一端を知るには、やはり現物を目の当たりにすることが一番。今回の展示ほど、それに適した道はありません。場所は万博。暖かくなってきたことですし、ピクニックなんかも含めて、ぜひ一度“民藝”の世界を覗いてみませんか?

 


 

大阪日本民芸館 平成28年春季特別展

「丹波の民藝 –陶磁と染織–」

会場 : 大阪日本民芸館

住所 : 吹田市千里万博公園10-5

会期 : 開催中〜7月18日(月・祝)

時間 : 10:00〜17:00(入館は16:30まで)

休館日 : 水曜日、5月6日(金) ※ただし、5月4日(水・祝)は開館

入館料 : 一般¥700、高校生・大学生¥450、小学生・中学生¥100

(自然文化園の入場チケットをお持ちの方は一般¥450、高校生・大学生¥350、小学生・中学生¥50)

http://www.mingeikan-osaka.or.jp/

 

Facebook Twitter LINE
loading