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2017.04.25 Tue

#Hyogo

【連載】乱痴気 前川拓史の兵庫じばさんぽ。vol.10 淡路島手延べそうめん

【連載】
乱痴気 前川拓史の兵庫じばさんぽ。
vol.10 淡路島手延べそうめん

#そうめん#ローカルフード#地場産業#淡路島

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神戸を代表するセレクトショップ「乱痴気」の代表、前川拓史さんが兵庫県内の民工芸の地場産業を訪れ紹介する連載企画。WEB版10回目となった今回は、明石大橋を渡って、淡路島へ。 “淡路島手延べ乾かし麺そろそろ”にまつわる産地をぐるっと廻ります。

 

 

 

淡路島手延べそうめん Awajia Island

 

淡路手延べそうめんの歴史は200年近くさかのぼる。淡路島の島民が伊勢詣での帰り道、日本のそうめん発祥の地といわれる三輪の里を通った際、農家のそうめん作りを見かけ、2年間三輪で製法を学び、淡路島の福良に持ち帰ったのが始まりだと言われています。

 

 

 

『繋とつなぎ』

 

兵庫県いや、素麺って言えば兵庫県たつの市の“揖保乃糸”を思い浮かべる方が多いと思いますが、実は、淡路島も手延べそうめんの産地なんですよ。めちゃくちゃ麺類が好きで、色々な土地を巡って“うどん食べ歩きツアー”を敢行する僕も、淡路島がそうめんの産地とは、まったく知らなくて、夏場、素麺や冷麦を食べるのは、揖保乃糸や兵庫県を通り越して香川県の麺を食べていました。

 

「淡路島の手延べそうめんってどんなんやろ?」と、色々と調べていた時に知り合った金山さんは、『金山製麺』の六代目。何度か工場へ訪問させて頂き、仲良くなって一緒に呑んでいた時に「僕のオリジナルの麺とか出来ませんかね~」とポロッとこぼしたところ「やりましょうや!」と二つ返事で返してくれたのがこの“そろそろ”の始まりです。

 

初めは、僕が食べてきて美味しかった麺の食感や味、茹で時間など色々と提案していましたが、旨いのは当たり前、どうせやるなら兵庫県内の素材で、なるべく淡路島の素材を使いオールメイド・イン・兵庫で作りましょうとなりました。

 

 


MADE by 金山製麺

 

約150年続く金山製麺、現在も昔ながらの寒期に二昼夜かける製法を、かたくなに守りながら新しい事にチャレンジされています

約150年続く金山製麺、現在も昔ながらの寒期に二昼夜かける製法を、かたくなに守りながら新しい事にチャレンジされています

手延べそうめんづくりは、お父さん、お母さん、弟さん、奥さんを中心に全ての工程をご家族で行っています 

手延べそうめんづくりは、お父さん、お母さん、弟さん、奥さんを中心に全ての工程をご家族で行っています 

明治の中頃には漁師の冬場の副業として栄え、約130軒が従事していたそうですが、今でも約十数軒の製麺所が頑張っています

明治の中頃には漁師の冬場の副業として栄え、約130軒が従事していたそうですが、今でも約十数軒の製麺所が頑張っています

 

 

 

塩は以前から付き合いのあった『自凝(おのころ)雫塩』を絶対に使いたいと考えていました。この塩は、仲の良い淡路島の窯元『樂久登窯』へ遊びに行っていた時、偶然遊びに来られていた、塩づくりをされている末澤さんに出会ったのがきっかけです。この塩の旨さに衝撃を受けたのはもちろんですが、末澤さんの工房のローケーションにやられ、気合の入りっぷりにやられて、我が家でもこの塩以外は使えないほど、気に入っています。  

 

菜種油は金山さんから紹介してもらった、島内の遊休農地等を利用して栽培する菜種を用いた 『菜の花の恵み』。肝心の小麦粉は、こちらもあまり知られていないのですが、兵庫県は、小野市で栽培が始まった“安全・安心の小麦粉”を使用しました。

 

 


MADE by 自疑雫塩

 

原材料は淡路島の海水だけ、余分なものは一切なし

原材料は淡路島の海水だけ、余分なものは一切なし

じっくり40時間、薪を用いて炊き上げる製法で手間をかけ作る為、生産量は一日極々僅かです

じっくり40時間、薪を用いて炊き上げる製法で手間をかけ作る為、生産量は一日極々僅かです

塩を作る窯。心を込めて手づくりの塩を炊き上げ

塩を作る窯。心を込めて手づくりの塩を炊き上げ

小屋の前の海から眺める景色、ゆっくりと時間が過ぎてゆく贅沢な五色の夕焼け

小屋の前の海から眺める景色、ゆっくりと時間が過ぎてゆく贅沢な五色の夕焼け

 

 

 

 味もそうなんですが、僕が拘りたかったパッケージは、淡路の特産品、線香の貼り箱を手がけること60年、職人技の貼り箱『津名紙器工業』さんに依頼しました。工場を見学させて頂いたときに見つけたホッチキス箱を作る機械を使っています。お父さんの時代に活躍していた機械だそうですが、ホッチキスが錆びる等、時代のニーズから置いていかれていた機械を、このために整備して使ってもらいました。  

 

この“そろそろ”プロジェクトは、最近よくある産地同士のコラボレーションとかではなく、伝統と歴史と、手しごとと、産業を繋げたいという僕の想いが詰まっています。  

 

手延べ素麺の産地、南あわじ市迄行くには、明石海峡大橋と高速が出来て便利になったけど、僕は、なるべく地道を通ります。寄り道をしながら脇道に外れゆっくりとゴール迄、人と人が繋がって完成した“淡路島手延べ乾かし麺そろそろ”。だけどこの麺には、一切“つなぎ”は使ってないのですよ。

 

 


MADE by 津名紙器工業

 

動物の骨や皮を原料とする“にかわ”を使い、シワにならない様に接着するのは、女性ならではの指先の器用さと、きめ細やかさです

動物の骨や皮を原料とする“にかわ”を使い、シワにならない様に接着するのは、女性ならではの指先の器用さと、きめ細やかさです

ガッチャンガッチャン振動と音が響き渡る足踏みの機械ですが、僕とおっちゃんはデッカイ道具と呼んでいます

ガッチャンガッチャン振動と音が響き渡る足踏みの機械ですが、僕とおっちゃんはデッカイ道具と呼んでいます

飾り箱を丁寧に作る、あぐいさん兄弟ですが全く飾りっ気のない人柄です

飾り箱を丁寧に作る、あぐいさん兄弟ですが全く飾りっ気のない人柄です

最後の工程として、箱にはひとつひとつ丁寧に刻印が押されていきます

最後の工程として、箱にはひとつひとつ丁寧に刻印が押されていきます

 

 

 

『じばさんらんちき』がプロデュースするオリジナルの乾かし麺です。そうめんより太くコシの有る麺は、小麦本来の味に加え、旨味の有る塩分と、ほんのり香る菜の花の香りが特徴です。5分程度茹でて頂き冷でも温でも美味しくいただけます。パッケージデザインは2yang氏が担当。

 

淡路島手延べ乾かし麺そろそろ¥1000

じばさんらんちき(tel : 078-371-3939)

(url : sorosoro.jp

 

 

 

 

前川拓史

神戸を代表するセレクトショップ「乱痴気」の代表。2008年から、兵庫県内の地場産業と一緒に物づくりをする「兵庫じばさん」プロジェクトをスタート。以来、毎週のようにあらゆる産地を訪ねている。

 

じぱさんele

http://www.lantiki.com/ele/

 

 


 

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