2019.01.16 Wed
#Kobe
【連載】
乱痴気 前川拓史の兵庫じばさんぽ。
vol.16 山田製玉部
神戸を代表するセレクトショップ「乱痴気」の代表、前川拓史さんが兵庫県内の民工芸の地場産業を訪れ紹介する連載企画。今回訪問するのは、神戸栄町の『じばさんらんちき』から歩いてすぐ。ビールの肴にもピッタリな老舗厚焼玉子が名物の『山田製玉部』さんです。
山田製玉部 Kobe City
厚焼・玉子焼メーカーとして昭和27年(1952年)4月に創業。以後65年間にわたって、日本の伝統的な食文化である寿司・会席料理になくてはならない厚焼玉子など玉子焼製品の製造・販売を続ける。味はもちろんのこと、安心・安全をモットーに玉子焼づくりに励んでいる。
『熱と厚』
JR神戸駅から少し北側にある湊川神社は、楠木正成を祭る神社。地元の僕らは親しみを込めて“楠公(なんこう)さん”って呼んでいます。その楠公さんの直ぐ西隣にある『山田製玉部』さん。“部”って社名に付きますが決して部活ではありません。その昔、お寿司屋さんで玉子焼を専門で焼く部門が製玉部と呼ばれ、その名残りから社名になったそうです。
訪問させて頂いたのは朝一。綺麗に整理整頓された工場内には活気と熱気が満ち溢れていました。熱せられた鉄板にジュッと卵が流し込まれれば、香ばしい良い香りが工場中に漂ってきます。弱火のコンロ上を四角い鉄鍋がリズミカルにコンベアーで移動してきます。それを年季の入った道具を使い職人が一個一個丁寧に玉子を焼いていきます。あまりに見事な、その光景を見入っていると一瞬、「これはアナログなのかハイテクなのか」と、戸惑ってしまいました。
創業当初(昭和27年)は小さな工場で、主にお寿司屋さんに玉子焼を納入していたそうです。当時は人の手で、一つひとつ焼き上げていたが、様々なニーズに答えていくうちに効率化を考慮し機械の導入が増えたそう。しかし今もなお、微妙な焼き加減などは職人の技と感覚。「一つひとつ丁寧に焼き上げる事に昔から変わりはありません。僕達のこだわってきた大切なことであり、使命です」と熱く語るのは社長に代わり山田くんこと山田常務。(山田くんが熱く語る姿にお父さんも信頼しているご様子で、最近は趣味のギターで、とうとうCDデビューも果たしました。)
山田常務を僕が親しみを込めて“山田くん”って呼ぶのは、ウチのスタッフと同級生で昔から知っているからだけではありません。厚焼き玉子を焼く鉄鍋のような四角い顔で笑う、ホッコリした空気のキャラクターだから。いつも謙虚で控えめな山田くん、丁寧に幾重にも重ねて厚焼玉子は焼いても、面の皮は厚くなりませんね。
前川拓史
神戸を代表するセレクトショップ「乱痴気」の代表。2008年から、兵庫県内の地場産業と一緒に物づくりをする「兵庫じばさん」プロジェクトをスタート。以来、毎週のようにあらゆる産地を訪ねている。
じぱさんele / じばさんらんちき
【過去記事】
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