2018.04.21 Sat
#Hyogo
【連載】
乱痴気 前川拓史の兵庫じばさんぽ。
vol.14 松右衛門帆
神戸を代表するセレクトショップ「乱痴気」の代表、前川拓史さんが兵庫県内の民工芸の地場産業を訪れ紹介する連載企画。神戸から西へ一直線、今回は高砂市の『松右衛門帆』さんへ訪問です。
松右衛門帆 Takasago City
日本最古の帆布とされている松右衛門帆。高砂市出身の「工楽松右衛門」が考案したそれは、江戸時代後期に海運業に大きな発展をもたらした帆布です。一般的な帆布とは異なり、縦横2本引き換えの織組織が特徴です。
『厚と熱』
確か、播州織の産地訪問に行った際に立ち寄った道の駅。ふと目に留まり、手に取ったカバンの生地。播州織のようで、岡山方面の帆布よりも分厚くて粗野で荒々しい質感。その生地が頭の隅っこに引っかかっていて、播州織の機屋さんに聞いたり、色々と調べてみると、北播磨周辺で分厚い生地を織っている機屋さんがあるそうで…。どうやらその生地は、高砂市から発信している、日本最古の帆布とされる“松右衛門帆”だと分かりました。
早速、連絡を取って高砂駅前のお店兼事務所まで車で行ったのですが…、ビックリしたわ! (山陽電鉄高砂)駅前の街並みが、まるで時間が止まっているみたい。昭和の雰囲気がそのまんま残っていました。好きやわ~あの雰囲気。
今回話を聞かせてもらったのは、松右衛門帆の柿木代表。年の頃は僕と同じくらいかなぁ、高砂駅前の雰囲気にぴったりな、地元高砂を愛する人。松右衛門帆の復刻を命懸けでやっているってのが、話を聞いているとビシビシ伝わってきました。東京に出向いて販売網を広げたり、PR活動でメディアに出たりと凄い行動力! そして、とうとう去年の秋には、今回訪れた生産と販売の拠点『御影屋』をオープンされました。播州織の産地から古い織機を譲り受けて高砂に持ち込み、縫製用のミシンを揃えたそうです。それだけでも凄いのに職人さんの育成にまで尽力されているんです。
松右衛門帆代表の柿木さんは、いつ会ってもエネルギッシュ
取材中、柿木さんが、機織り勉強中の若手に向かって、「こいつ、ちょっと前まで家でゲームばっかりしとったんですわ!」と笑うと、若手は嬉しそうにニコリと微笑みました。凄い情熱! リスペクトやわ!!! 柿木さんは、松右衛門帆の“厚い生地”と同じ位“熱い漢”。絶対に“工楽松右衛門”の生まれ変わりやと思います(笑)。
御影屋
高砂市高砂町今津町510
Tel : 079-440-9031
10:00~17:00[月〜金]
11:00~18:00[土日祝])
松右衛門帆に別注した2WAY仕様のトートバッグ。 シンプルながら、肉厚でやわらかい素材感によって、他にはない独特の表情に仕上がっている。 ¥14000 / じばさんらんちき(Tel : 078-371-3939)
前川拓史
神戸を代表するセレクトショップ「乱痴気」の代表。2008年から、兵庫県内の地場産業と一緒に物づくりをする「兵庫じばさん」プロジェクトをスタート。以来、毎週のようにあらゆる産地を訪ねている。
じぱさんele
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