2019.01.03 Thu
#Osaka
ストリートの服好きに「古着」を語ってもらう会 〜若手編〜
2018年10月にCOMEPASSにて配信された『関西古着屋ミーティング』。「年代やタグに関係なく、好きなら買う!」客層が増えた現在、「古着屋のこれからは若手の力が重要」だと語るくだりが印象的だった。ファッションに限らず、世界中のあらゆる情報をタイムラグなくキャッチできる今、20代の若者は古着をどんな位置づけでとらえているのだろうか?
というわけで、街のヤングな服好きを代表し、こちらの4人に集まってもらいました。
RANさん(19) 学生
古着愛好歴は約6年。好きな古着屋は『リトマス』、『11747391』。好きな服の傾向は「古着とブランドのMIX」。現在はファッションデザイナーを目指して勉強中。
小川雄太郎さん(21) 販売員
古着愛好歴は4~5年。好きな古着屋は地元(愛媛)の『ベース』。好きな服の傾向は「少しストリートをいれる感じ」。セレクトショップ『キクノブ』スタッフ。
杉本 翔さん(20) 学生・販売員
古着愛好歴は約4年。好きな古着屋は『エピック』、『アキン』、『バンカ』、『サルベージ』。好きな服の傾向は「70s・ドメスティック・インポート」。『ルーム』スタッフ。
GIROさん(22) 販売員・DJ
古着愛好歴は約6年。好きな古着屋は『ジャバー』、『アサギ』他多数。好きな服の傾向は「古着とドメスティックMIX」。『チカシツ プラス』スタッフ。
街の若手に聞きたい「古着」の定義
ー今、ストリートでは古着の人気が高まっているような話も聞くんだけど、実際みんなのまわりではどう? そもそも「古着」って言っても、その定義はそれぞれだし、世代間ギャップもあるでしょ。いわゆるアメリカ古着のレギュラー、ヴィンテージ、ヨーロッパ系だとアンティークとか。USEDって言葉の意味だけを純粋にとらえるなら、新作でも一度誰かの手に渡った商品なら古着ってことになるしね。
RAN 私が古着に興味を持ったきっかけはお母さんのおさがり。アパレル出身で服好きな母のクローゼットから、勝手に服を借りて着るようになって、そこから「昔の服ってかわいいな~」と。古着屋さんで買い物をするようになったのは中学生くらいからかな。
小川 僕は高1くらいかな。最初はブランド古着で、そこからコテコテ古着に移行。
杉本 本格的に服に興味が湧きはじめたのは15才くらいで、最初はやっぱり古着だった。個人的な好みで言えば「古着=ヴィンテージ」だけど、僕ら世代の一般的な感覚だと、みんなそこまでヴィンテージを意識してないと思う。
GIRO 今したいスタイルとか欲しい服が、新品より少しリーズナブルに買えるなら「古着でいい!」って考えもあるだろうし、たとえば<ノースフェイス>のフリースとか、今流行ってるけど、最新のものより古着のほうが色味が絶妙だったりするから「むしろ古着がいい!」ってこともある。僕もRANちゃんと同じで父親のワードローブはけっこうチェックしてたなぁ。<ポール・スミス>のセットアップとか<コムデ・ギャルソン>とか、今でも着られそうなめっちゃいい服がいっぱいあった。
ーみんなのお父さんやお母さんが若い頃って、まさに90年代だもんね。古着屋に行かずとも自宅で良品を掘れるのも納得。
杉本 今の古着人気みたいなのも、絶対90年代ブームからの流れやと思うんですよ!
RAN 学校の女の子でも古着好き増えたなと思う。ストリートっぽい古着派も、ヴィンテージ古着っぽい格好してる子も多いけど、女の子って服のウンチクよりも感覚で選ぶことのほうが多いし、好みも気分も変わりやすいから本当の意味で古着が人気なのかどうかはわからないけど。
GIRO 女の子が服を感覚で選ぶ感じ、めっちゃわかるー。「かわいい」か「かわいくない」か、が全てよね。
RAN 男の人のほうがこだわりが強いぶん、服の歴史とか情報、希少性みたいところに惹かれたりするんだろうけど、女の子は接客で熱弁されても「へ~」くらいで(笑)
小川 全然関係ないかもやけど、女の子に接客されたら俺はすぐに買ってまうわ(笑)
杉本 それは男気で?
小川 いやぁ、「似合いますね~」って言われたらその気になるっていうか(笑)
杉本 やっぱメンズの店には女の子スタッフが必須なんかな?
GIRO 必要性、あると思う。
ーところで自分が古着を買うときは、どこに注目してる?
杉本 ディテールとかシルエット、やっぱ年代とかも意識してるかな。
RAN 私もまずはシルエットをチェックして、気に入ったら細部を見て、あんまりきれな状態でなければ考えるし、どうしても気に入った服なら自分でリメイクしたり、クリーニングに出したりしてます。
GIRO 僕も状態は気になる。
小川 そこは全然気にしてなかった。サラの服を合わせるとき、あえて古着のボロい感じがいいときもあるし。
GIRO ヴィンテージの場合はボロボロ感も魅力だけど、そこにこだわらない場合はきれいなほうがいいな。自分が働いてるお店も新品と古着の差があまりない感じのセレクトだし。
ー最近、どんなお店で買い物してるの?
杉本 『ボーアロ(ボウ&アロー)』っすね! ついこの間も、ヴィンテージのハットを買いました。素材がビーバーの皮で、めっちゃいかついやつ。品質の良さをXの数で表記していて、ふつうに良いとされるやつでもせいぜい4つくらいらしいけど、その帽子には12個もXついてて、めちゃめちゃええ皮やん!‼︎ってなりましたわ。
RAN 私は『リトマス』で白いロングのウエスタンブーツと、ヨーロッパ古着のベージュのコートを購入。いわゆるブランドの古着とかではなくて、古い時代の服が好きなんです。今日みたいに全身古着でコーディネートするときは、野暮ったくならないように髪型やメイクはきれいめにしようって思いますけど。あと、彼氏(古着好き)の影響もあって、最近はメンズのお店でもお買い物しますね。
MY BEST 「古着」公開!
ー4人のクローゼットから、とりわけ気に入っている「古着」をピックアップしてもらいました。本日の着こなしポイントも合わせつつ、古着の魅力をさらに語ってもらいましょう。
PICK UP BY RAN
レースのブラウスとスウェードパンツは『リトマス』で、BIGシャツは『11747391』にて¥8000ぐらいで購入
RAN レースのブラウスは甘い感じが好き。スウェードのパンツはシルエットがめちゃめちゃきれいなんで、ワントーンコーデとかですっきり。白いBIGシャツは、とにかく大きいところが気に入ってます。タグにマジックで名前とか買いてあるし、たぶんめっちゃファットな外国人男性が着てたんだろうなぁと思うんですけど(笑)、これに細身のフレアパンツ合わせたり、上からハーネスも似合う。羽織れるシャツワンピって普通に流行ってたりもするけど、これだけBIGなサイズ感はやっぱり古着ならではかなぁと思います。
ー今日のコーデのポイントは?
オール古着です! フリルのブラウスにタートルをインして、スラックスできれいめにまとめました。チェック柄のコートは中学生のときに東京の古着屋さんで買ったもの。
PICK UP BY 小川雄太郎
地元の古着屋で購入した<ステューシー>のブルゾン、<リーバイス>のシルバータブ、同じく517
小川 良い意味で「ミーハー心」を忘れないのがポリシーだったりするんで、王道ブランドの古着は外せないっすね。<ステューシー>は今でも結構着ていて、このブルゾンはアウトドアのディテールのあるけどストリートっぽくまとまるので重宝してます。<リーバイス>のシルバータブはサイズ感が大きめなんで90年代ぽくバギーめに。70sの517は半年くらい前に地元の古着屋で。
ー今日のコーデのポイントは?
全体にさらっときれいめなんですけど、ヴィンテージの<コンバース>で外すみたいな。カバンも<グレゴリー>の旧ロゴっす。
PICK UP BY 杉本翔
この夏「一生はいてた」ストライプのパンツ、<リーバイス>517、同じく517のブラック
杉本 古着にハマりだした頃からずっと70sが好きなんですよ。で、デニムは501より517派です。517だけで6本以上は持ってると思うけど、同じようなサイズ感でもレングスや色の落ち方は全部違うから、着こなしによって今日はどれにするかとか選ぶ楽しみもありますよね。ストライプの柄パンはいただきものなんですけど、ヨーロッパのガチのパンクスが愛用していたと推測されるパンツで丈感が絶妙! ビッタビタのやらしいラインでフレア感もたまらんやつ。難しいアイテムやけどいちばん気に入ってるボトムです。
ー今日のコーデのポイントは?
サラ着とヴィンテージのMIXで緩急つける感じ。セレクトの服でもディテールやデザインのモチーフがヴィンテージっぽいものに惹かれる傾向はあります。
PICK UP BY GIRO
ラビットファーのジャケット、<フィラ>のパーカー、ブランド不詳のブーツカットは¥980
GIRO リバーシブルで着られるファージャケットはテーラードやアウターのインに、レイヤードアイテムで。レディースのアイテムなんですけど、気に入ったものならそのへんは全く気にしません。<フィラ>のパーカーは『アコ』で、ダメージ感にやられました。今また流行ってて、サラでも買えるブランドこそ、ほかの誰ともかぶらない古着の良さが際立つみたいな。「自分しか似合わんやろ」みたいな着こなしができるのもいいですよね。
ー今日のコーデのポイントは?
自分がやってる<モルビド>ってブランドのショールカラーのスウェットです。実は古着をデザインソースにしていて、衿のニュアンスとかリブの感じがいい感じ。デニムは<ブフト>のサイドレースで、ちょっとクセあり。
どうなる? そして、どう関わりたい? これからの「古着」
RAN とにかく自分らしく! あまり流行とかに左右されずに古着を愛して楽しんできたから、これからもその気持ちだけはブレずに、いろんな服を着て、見る目とセンスを養っていきたい。古着コレクターとかではないけど、これまで買い集めた服はながめているだけでも幸せだったりするんですよね。トレンドのブランド服なんかは、買っても着なくて「血迷ったか……」みたいなケースも多く、すぐに「新品タグ付き!」って手放したりするけど、古着に関してはそれがない。これからもずっと好きでいたいな。
GIRO レギュラーとかヴィンテージにこだわらず、ファッションを楽しむアイテムのひとつとしてニュートラルにとらえているし、お店に来てくれる僕らよりもっと若い世代の子には、その良さや魅力を素直に伝えられたらいいなって思いますね。
小川 自分がよく行く店の人でも、うちに来てくれるお客さんでも、古着好きな人って、色づかいや合わせ方のセンスが独特やなぁって思うことが本当多いんですよね。そういう意味で僕は勉強させてもらってるけど、逆の立場にもなりえると思うので、「全然興味ないねん」って人にも「なんすかそれ?」って気にしてもらえるような着こなしを、これからも楽しみたいっすね。
杉本 ファッションにハマる入り口って、男の場合は特に「ブランド」か「古着」かの二択じゃないですか。今は古着が人気だけど、90年代のストリートブームとともに淘汰されていくとは思うんですよ。それでも僕は古着が好きなのでずっと着つづけたい! そして人気もそこそこ落ちついた頃、デザイナーズの最新作に50sのシャツを合わせて「アッ」と思われる存在になっていたら、めちゃめちゃカッコいいですよね。
服好きのパッションに世代間ギャップなし!?
インターネットが普及したおかげで、情報はもちろん、「ポチッ」とワンクリックで欲しいものが手にはいる時代。価格的な部分にフォーカスするなら古着にこだわらなくても、もっと安価でそれなりに今っぽいものだっていくらでもある。それでも若い彼らは、スマホの画面越しでは感じ得ない何かと、画一的ではない人やものの魅力を求めて街に集まり、さらには伝え広めようとしている。その健全性を垣間見て、もはや親世代の筆者は心底安心した。そしてCOMEPASSを読んでくださっている人なら誰でも心の奥のほうに秘めているであろう洋服「愛」みたいなものを、今回の座談会に参加してくれた4人からはビシビシ感じたし、彼らと同世代、それよりもっと若い世代も同じように育んでいるであろうことを実感。大丈夫、関西のファッションシーンの未来はこれからもきっと明るい。
photo / Hiroshi Nakamura
text / Shiho Fujiwara
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