2019.09.07 Sat
#Osaka
【スペシャル対談】とっておきの遊び場を生み出し続けるパーティー「WE WANT」の歩み
ふと見かけたポスターに「なんだろう、楽しそう。」「なにこれ、おいしそう。」と目を奪われたかと思えば、よく見てみると決まって書かれている「WE WANT」の文字。いつだってこのパーティーに集うのは、音楽も食べものも無性に惹きつけられるものばかり。大阪を中心にロケーションとテーマを変えながら、発足から5年で実に30回以上の開催を重ねたWE WANTは、どのように生まれたのか?
このパーティーを語る上で不可欠なPINEBROOKLYNにて、仕掛け人であるロディ、Ajikata、34Pの3人に話を聞いた。これを読んで、来る『WE WANT NEW YORK 8』に家族もあのコも連れ出そう!
—— 大阪を中心に行われるパーティー「WE WANT」は、一貫して友人や家族を気軽に誘えるような肩の力の抜けたムードがあり、他のライブイベントでは出会えないようなユニークなブースが並ぶのも特徴です。 発足してから今年で5年を迎えますが、このパーティーが誕生したきっかけを教えてください。
ロディ : 大阪が風営法の影響でクラブでパーティーをできない状況にあった頃、今は閉店してしまったのですが僕がバーを経営していたんです。そこにDJやダンサーやバーテンダーの方々が遊びに来てくれたので、みんなが協力してくれたらパーティーができるんじゃないかと考えて。当時SPEAKEASY(アメリカの禁酒法時代に秘密酒場を示した言葉)のカルチャーに興味があって、文献を漁っていたら「WE WANT BEER」と書かれたプラカードを持ってニューヨークをデモ行進している人たちの写真を見つけて。その言葉のBEERをPARTYに変えて「WE WANT PARTY」という名前で、アメリカ村BIG STEPの屋上にあった中華料理のレストラン跡地で2014年にやったのが初回です。
Ajikata : 僕もロディのバーに客として行っていた一人で、ずっとデザインの仕事をしていたのでイベントの構想を聞いて乗っかったのが始まりです(笑)。初回はヴィジュアルもそのデモ行進の写真をヒントにデザインしたんだよね。
ロディ : 3回目までは初回と同じBIGSTEPで開催したんですが、その中華料理店が別のお店に変わってしまって使えなくなってしまうんですよ。そこで、初回から音響やDJの機材をサポートしてくれていたRedbullさんに屋外開催を相談して実現したのが、南港三角公園で行った2015年の『WE WANT PICNIC』なんです。
Ajikata : ホームページにアーカイヴを載せてるんですけど、この回は写真もすごく良いですよ。
—— ロディさんとAjikataさんは初回からタッグを組んでおられたのですね。福島のオルタナティブ・スペースPINEBROOKLYNのマネージャーである34Pさんが、WE WANTチームに加わった経緯も気になるのですが、WE WANTが初めてPINEBROOKLYNで開催されたのはいつでしょうか。
34P : 2015年にあった『WE WANT SPEAK EASY OSK』が初開催ですね。
ロディ : そうだね。その後またいろんな場所でやるんですけど、タコスショップを集めた『WE WANT TACOS PARTY』もPINEBROOKLYNだし、野外で3度目の『WE WANT PICNIC 3』を企画した時も当日の降水確率が100%だったから前日になって急遽PINEBROOKLYNを貸してもらったり (笑)。
Ajikata : あの時、デザインも雨仕様に変更したもんね。
34P : それまで私はあくまで会場をお貸しする側でした。ふだん会場を貸すだけのイベントを私から宣伝することはないんですけど、WE WANTはしっかりバックアップしたいイベントだなと思ったので、フライヤーを預かって友人たちに声をかけたりしていて。それで「こんど私も一緒にやりたいです」とお話しして、WONKをフィーチャーした『WE WANT NEW YORK』の初回を企画しました。
—— 今やWE WANTの代名詞のひとつと言っても過言ではない、ニューヨークをテーマに据えた『WE WANT NEW YORK』ですが、どのようにスタートしたのでしょうか?
ロディ : あるとき次のWE WANTのテーマが決まらずに悩んでいたのが年末だったんですよね。Facebookで友人たちの「年末年始は海外で過ごします」という投稿を見て、「いいなぁ…俺は何やってんだろう」と思って。その頃ちょうど『はじまりのうた』というニューヨークが舞台の音楽映画を観て、ニューヨークに行くお金はないけど、「ニューヨークに行ったフリして遊ぼう」というコンセプトでイベント自体をニューヨークにしてしまおう!というアイデアに行き着いたんです。
34P : 『ニューヨーク』ってキーワードが出てからは、すぐにいろんなことが決まりましたよね。ライブ以外の出店のひとつとしては、兵庫にあるMERICAN BARBERSHOPに来てもらいました。
ロディ : バーバーカルチャーが日本で注目を集め出した頃だったので、『WE WANT NEW YORK』がかなり早いタイミングでピックアップできたと思います。WE WANT関連のパーティーは合計30回以上やっていますけど、この『WE WANT NEW YORK』は9月で8回目を迎えるほど、大きな軸になりましたね。
—— 現体制のWE WANTチームにおいて、お三方はそれぞれどんな役割を担っていますか?
ロディ : 簡単に言うと僕が考えて、Ajikataが作って、34Pが広める!という感じです。と言っても構想段階で1回集まって話しますし、メールで常にやりとりをしつつ2回目に集まるときにはほぼ固まっていますね。良い場所や良いアーティストに巡り会えると、それがきっかけとなって一気に進みます。
Ajikata : 1回飲みに行くのが大事で、そこで1つアイコンが決まるとヴィジュアルのデザインも進みやすいんですよね。
34P : いろんなポスターがありますけど、6回目の『WE WANT NEW YORK』は私がアイスクリームを持っている手がメインヴィジュアルになっています。このアイスクリームに一目惚れして、お店を呼びたくて企画したイベントなんですよ。これ以降Harlow ICE CREAMはWE WANTには欠かせない存在になってくれました。
ロディ : 初の縦長ポスターだったけど、一番好きかもしれない!
Ajikata : 俺もこれ好き。写真をそのまま使ったから楽だったし可愛いし言うことなし!(笑)
—— 確かに他のデザインに比べると一際目立ちますよね。逆にデザインが難しかったものはありますか?
Ajikata : 7月にやった『WE WANT MATSURI』かなぁ。迷ったけど、祇園祭と同じ日に開催するからうちわを作りたいというアイデアが出て、白いうちわを持っている舞妓さんの写真にインスパイアされてこのデザインになりました。
—— 筆者がDJとして参加させていただいた6月の『WE WANT SUMMER PARTY』のポスターはリバーシブルで、裏面の図形を切り抜いて組み立てるとペーパーナプキンホルダーになるんですよね。会場に設置されていたペーパーナプキンの1枚1枚にもイベントロゴがプリントされていて、感激しました。
ロディ : WE WANTは音楽と同じくらい飲食店の方々からのサポートを受けているので、「飲食店に役立つフライヤーって何だろう?」と考えた結果、ペーパーナプキンにプリントすることになりました。余っても使い続けてもらえて環境にも優しいし、フレッシュな発想かなと!
Ajikata : じゃあポスターはナプキンホルダーにして、セットで使えたら良いんじゃないかと。僕、展開図を書くのが好きなので。
—— ポスターデザインの数も実に30以上、どれをとっても他にはないこだわりを感じます。
Ajikata : アーティスト写真をどーんと載せるのは楽なんですけどよくあるし、WE WANTはそういうデザインじゃなく自由に遊んでいいというのが大前提にあるので、楽しくやっています。
34P : 一目では誰が出るのかまったくわからないポスターもありましたね(笑)。
ロディ : イベントの持ち味として、有名なアーティストを呼んで、そのアーティストの固定ファンだけを集めようとはしていないので、ヴィジュアルもこういう感じで成立するんです。
—— 先ほど、WE WANTには飲食店の協力が欠かせないというお話がありましたが、フードブースはどのように選んでオファーしているのですか?
34P : 基本的に私が声をかけています。過去に行ったことがあったり、よく知っている人のお店だったり、もちろん誰かからご紹介いただくこともありますが、まったく知らないお店に依頼してイベント当日に初めてお会いするということは絶対にないです。昨年の『WE WANT NEW YORK 5』には東京から2店舗も出店してくれました。
—— Ajikataさんはフライヤーやポスターのデザインだけではなく、当日はカメラを持ってイベントの様子を撮影しておられます。34Pさんは出演者や出店ブースのケアなど当日もお忙しく動き回っていらっしゃいますが、お二人から見てWE WANTにいらっしゃるお客さんの印象はいかがですか?
Ajikata : 毎回テーマも場所も違うけど、いつも親子連れがたくさんいたりして、撮っていて「みんな楽しそうだな」とこっちも楽しくなります。
34P : お昼間のイベントだからかもしれませんけど、みんな話しかけやすい雰囲気なんですよね。夜クラブに行っても他のお客さんとコミュニケーションをとることはあまりないんですけど、WE WANTのお客さんは逆に私たちに話しかけてきてくれたりします。
—— まもなく9月16日(月・祝)にPINEBROOKLYNで開催される『WE WANT NEW YORK 8』は、メインアクトにNAOKO SAKAIさんが登場しますね。
ロディ : ある時、NAOKO SAKAIさんにMVを見せてもらって、「ぜひWE WANTに呼びたい!」と思って企画したパーティーです。ちなみにフードブースは、神戸のnickが『WE WANT NEW YORK 8』のためにオリジナルホットドッグを開発してくれる予定ですよ。
—— WE WANTと名のつくパーティーはこれまでも、場所やラインナップを問わず足を運べば間違いなく私たちを楽しませてくれましたが、30回以上を重ねた今、これからに向け企んでいることはありますか?
ロディ : 「移動式音楽イベント」なので、WE WANTをニューヨークでやりたいですね!これまでも口に出して言葉にすると叶ってきたので、ブルックリンでWE WANTのパーティーを実現させたいと思います!
34P : 今年から、ニューヨーク開催を当面の目標として意識し始めましたね。私は今後のWE WANTでも、ミュージシャンや飲食店だけじゃなく会場でライブペイントをしているイラストレーターなど、アートな部分にも注目してほしいです。
ロディ : WE WANT自体がメディアのような存在になって、このパーティーに来たらまだまだ知られていない旬なアーティストやお店に出会える、そんな機会としてもっと広がっていけば嬉しいです。
Event Information
WE WANT NEW YORK 8
2019/9/16 (月・祝)
16:00〜22:00
@ PINEBROOKLYN
(大阪市福島区福島1-2-35)
LIVE : NAOKO SAKAI band set
[Ba. Takumi Moriya / Key. 岩井ロングセラー / Dr. Tsukasa Inoue(fox capture plan)]
DJ : SPINMASTER A-1 / KAZIKIYO / Phennel Koliander / STEW / SULLEN
FOOD & DRINK : TACOS / HOT DOG / PIZZA / SWEETS / COFFEE / WE WANT BEER
and more
MARKET : HDS STUDIO from MEXICO / BONA FIDE POMADE / JS Sloane / BARAILLE & GARMENTS / CM RECORDS
BARBER : MERICAN BARBERSHOP / MR.BROTHERS CUT CLUB OSAKA
CITY RIDE TOUR & BIKE PARKING : CYCLE CLOAK / Movement
ADV : ¥2,500 / DOOR : ¥3,000
※中学生以下は保護者同伴で入場無料
MORE INFO : https://wewant.jp
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