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2019.05.04 Sat

#Osaka

【新連載】コモンブックこんにちは!vol.01 米田雅明さん  /「ON THE BOOKS」 店主

【新連載】コモンブックこんにちは!
vol.01 米田雅明さん /「ON THE BOOKS」 店主

#カルチャー#写真集#古本屋#本#江之子島

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読書には道筋がある。気に入った一冊が、新たな本への架け橋となり、心の中で少しづつ根を伸ばしていく。それは木に似ている。枝分れして連なった系統樹。進化学で全生物の共通祖先をコモノート(Commonote)と呼ぶように、読書にも最初の一冊、コモンブック(Common Book=共通の本)がある。これは、本を愛する者に訊く、はじまりの物語…。本好きに、読書の出発点となった一冊=コモンブックを訊くコーナー。第1回目大阪の名物古書店『オンザブックス』米田さんにお伺いしました。

 

 


 

 

 

米田雅明 / ヨネダマサアキ

1976年生まれ。奈良県出身。古本屋オン ザ ブックス店主。アート系、ビジュアルブックに加えて、マンガ・音楽・映画・オカルドなどポップカルチャー&サブカルチャー全般を取り扱う。趣味は旅行。お店で販売中の雑貨は自ら旅先で仕入れたものも。

 

 

 

−2009年オープンの「ON THE BOOKS」ですが、スタートした時はどんなお店だったですか?

 

アートブック中心でした。写真、美術、建築とか。でもそれだけやと面白くなくなってきて、だんだん変わっていきました。大阪という土壌なんでしょうね。カッコいい本屋って、やってて退屈で。(笑)

 

 

−店主さんが楽しんでるって大事ですよね。そういうのってお客さんにも伝わるし。

 

そうなんですよ。そこからサブカルも好きだったんで、少しづつ取り入れながら間口を広げて、枝分かれさせていくようにお店作っていきました。

 

 

−今のメインは?

 

写真集とファッション関係は最初からの軸になる部分なんで、そこは変わらずです。

 

 

−豪華な写真集や美術系の本もお安いですよね。

 

昔、写真集を欲しいと思った時、アマゾンなんかができる前で、大きな書店にしか売ってなかったんです。あれ輸入してるから、めちゃくちゃ高くて。何度も諦めて、悔しい思いをしました。だから、できるだけ買いやすい値段を心がけています。色んな人が手に取って欲しいので。

 

 

 

−なるほど。絵や写真って今は検索で簡単に見れるけど、本で鑑賞するとまた違いますよね。ちなみにお店を始められたのは何歳だったんですか?

 

31やったかな。

 

 

−元々、古本屋さんで働かれていたんですか?

 

はい。梅田の東通りにあった末広書店で仕事の流れを一通り教えてもらって独立しました。その前はアパレルを。

 

 

−へー意外なご経歴ですね

 

販売とパタンナーをやりました。当時、まだパソコンが普及してなくて、デザイナーさんとやり取りする資料も本だったんです。それで洋書をちょこちょこ買ってたのがお店のきっかけになるんですけどね。

 

 

−なるほど。それが「ON THE BOOKS」のルーツなんですね。じゃぁ、本好きになったきっかけの一冊=コモンブックもアート系のものを?

 

いえ、それは、小学生に遡るんですよ。漫画のAKIRAなんですけど。

 

 

 

 

−小学生でAKIRAは早熟ですね。

 

難しい漢字をいっぱい使ってて、絵の情報量も多いから、当時は深いところまではわかってなかったんですが、バイクに憧れたり、SF的な部分ですね。あと天地、小口に、黄色や紫の色が塗られてて。あんな本なかったでしょう?

 

 

−あれはすごいインパクトでした。ちなみに活字の本は?

 

学校の図書館で見た江戸川乱歩のシリーズですね。あれはよく読んでた覚えがあります。

 

 

−でた、少年探偵団!あれもジャケットが全部カッコ良かったですよね。内容は子供心にもちょっと無理があるなって作品も多かったけど(笑)。

 

そうそう。表紙なんですよ(笑) 本に惹かれたのはそこなんですよね。物としてかっこいいやんて。小学生やったから難しいことは意識してないですけど。

 

 

−今の「ON THE BOOKS」に繋がりますね。

 

そうですね。本の楽しみって、収集癖に近いところがあると思うんですよ。好きな作者の著者の書籍は一通り揃えたくなるとか。挿絵のイラストレーターの本だけ集めるとか。そういう所で本を買ってた感じはありますね。

 

 

−モノとして魅力。

 

もちろん情報としての本も凄く好きなんですけど。 自分の基準ではどっちかっていうとそっちの方が。

 

 

 

−じゃぁ電子書籍とかはあんまり?

 

ですね。何回かチャレンジしたんですけど、集めてる感がないでしょう。便利なんですけどね。やっぱり自分はモノとしての本を読んだり、買ったりしてるんだなと思います。

 

 

−基準ってなんですか? 美しかったり、かっこいいと感じるものだったり、色々な本があると思うんですが。

 

自分の場合は、変なもんですね。それこそAKIRAも異質やったやないですか。そういうのが結構好きやったんですよ。アングラな方へ行く時代ってあるでしょ。こういうところにいる俺かっこいいやんみたいな。それが結構続いて、いい加減しんどくなってきて、揺り戻しで最近はベルセルクとかHUNTER×HUNTER読んだりしてるんですけど(笑)

 

 

−どちらも異質なニュアンスがあるマンガですけどね。

 

そうですね(笑)まぁ今は、肩の力を抜いて、読める本ばっかり読んでます。小説やったら東野圭吾とか。ベタな。

 

 

 

−東野圭吾はベストセラー作家としては珍しく、電子書籍を出してないんですよ。一番売れると思うんですけど、アンチ電子書籍。

 

へー。そうなんですね。

 

 

−昔は、読者が犯人だったり、名探偵がスットコドッコイだったり、変な小説ばっかり書いてましたよね。

 

知ってます。まあまあ歪んでますよね。

 

 

−まぁ人生にはそういう時期も必要ということで(笑)。

 

そうですね(笑)。

 

 

 

 

 

 

 

 

アングラといえばこちら。ソニックユースやマリリンマンソンの初期MVをディレクションするなど、80年代からニューヨークアンダーグラウンドシーンに君臨する映像作家・フォトグラファー、リチャドカーンのジン。内容はもちろんハードコア。2015年発行。1500円

 

 

 

 

デザイナー、詩人、思想家と多方面で活躍し、晩年は書物を集め出版社を興し、数々の美しい本を世に送り出した、ウィリアム・モリスデザインのラッピングペーパー。切り離して使えます。1985年発行。ドイツ製。2000円

 

 

本好きの間では、江戸川乱歩を揃えるなら春陽堂と決まっている。理由は簡単。多賀新の表紙がかっこいいから!字も細かくて読みにくいんだけどそれも魅力に思えてくるから不思議。全巻揃えたい。200円〜

 

 

 

ON THE BOOKS / オン ザ ブックス

大阪市西区江之子島2-1-34

大阪府立江之子島文化芸術創造センターB1

11:00〜20:00 月曜定休

on-the-books.info

 

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