2019.02.15 Fri
#Osaka
WHAT IS MORI !?
vol.2 森が提唱する、“進化型古着”とは?
『スピンズ』や『ムモクテキ』を手がける京都のアパレル会社「ヒューマンフォーラム」が今年、創業25周年を迎えた。そんなメモリアルイヤーの門出を飾るべく、来たる3月16日(土)に、約300坪の大型USEDショップ『森』が中崎町の高架下にオープンする。全4回にわたって、『森』の全容をお届けするこのシリーズ。第2回は、『森』の目玉ともいえるリメイクやアップサイクルといった“進化型古着”“にフォーカス。初回に登場いただいたCEOの出路さんと店長の森さんに加え、新ブランド<メンド>のブランドを手がける井垣敦資さんにも話を伺いました。
Photo / Mami Nakashima(Tryout)
Text / Shun Koda(Tryout)
―まず“進化型古着”とはどういったコンセプトなのでしょうか?
森 リユース、リサイクル、リメイク、リペアといったテーマを包括するのが“進化系古着”ですね。
井垣 僕たちの世代の古着はアメリカやヨーロッパで買い付けるのが主流だと思うんですが、これからは日本で出た古着は国内で消費するべきなんじゃないかなと考えていて。それも右から左へ販売するんじゃなく、リペアやリメイクを施すことで付加価値を与えてお客様に届ける。そういう古着の着方ってかっこいいじゃないですか。
森 その流れを僕たちでつくっていこう。古着文化を進化させようっていうことですね。
出路 ただ僕たちは「古着は環境に優しいですよ」ということをアピールしたいわけじゃない。「このコーディネート、オシャレやな」とか「これ可愛い」とか、ファッションを楽しんでもらいながら、古着の根底にある問題を解決できるような取り組みをしていきたいんです。
―やはり、そこはファッションが第一にあるんですね。ところで、進化系古着とはどんなアイテムが並ぶんでしょうか?
出路 進化型古着とひと言で言ってもコンテンツは盛りだくさんですから、順番に説明していきましょうか。まずは「Re:circle GALLERY(リサークルギャラリー)」。こちらは簡単に言うと国内外のリメイクアーティストやリメイクブランドのセレクトショップです。カジュアルやモードはもちろん、ユニセックスなアイテムも並びます。
森 これがかなりおもしろくて、同じリメイクブランドと言ってもデザイナーによってテイストが全然違うんです。古着リメイクならではのワイルドな表情が魅力的な商品もあれば、女性的で繊細な雰囲気の商品もあります。デザイナーごとに素材のチョイスや使い方が違っていて感心しました。
井垣 数ブランドを一度に目にする機会って滅多にないから、リメイクアイテムに一層興味が湧くと思います。
出路 新しい発見があるからいいよね。さらにセレクトだけじゃなくて、<MEND(メンド)>とうオリジナルブランドも新たに加わります。これは井垣から話してもらいましょうか。
井垣 <メンド>は、捨てられるモノにもう一度価値を与えるという“アップサイクル”がコンセプトのブランドです。「破れたり汚れたりしたからってすぐに捨てるのはもったいない。リペアすれば長く着られるのにな」と、思うことがよくあって。それとツギハギまみれのデニムを穿いていている人を街で見かけたときにビビッときたんです。昔のデニムとかワークウェアとかって、ツギハギしたりツギハギしたりワッペンつけちゃったりと、いかにも愛着もって大切に着てたんやなーっていうのが結構あるんです。リアルなエイジング感のカッコ良さもそうなんですが、モノを大切にする姿勢に惹かれたんです。そういう“繕って大切な一着を長く着続ける”という文化を伝えていきたいと思ってつくったのがこのブランドです。
―確かに、10年、20年と愛用しているアイテムはカッコいいですよね。具体的にはどんなアイテムが並ぶんですか?
井垣 これはヨーロッパのワーク服をベースに、江戸時代からある裂織りという技法を用いています。裂織りというのは、文字通り生地を裂いて編み上げる手法なんですが、「森」では裂織りの生地をパッチワークのように使っています。ベースの生地によって表情が異なるので、そこが面白いんです。
―ヤレた表情がカッコいいですね、経年変化も楽しめそうです。他にはどんな技法を使われるんですか?
井垣 東北地方に伝わる刺し子やダーニング、京都の伝統の黒染めなど、日本各地にあるさまざまな技法を組み合わせて現代に蘇らせるつもりです。服だけでなく、ドライフラワーアーティストの<タフィーノッセ>とのコラボアイテムや家具なんかもリリースします。
―古いユーロアイテムだと、ダメージは付き物ですもんね。こうして生まれ変わると新鮮な印象を受けますね。持ち込んだアイテムに、パッチワークを施してもらうこともできるんですか?
出路 もちろん、大丈夫です。「Re:circle STUDIO(リサークルスタジオ)」で受け付けます。ここでは、お客様が持ってきたジャケットやパンツに、パッチワークを施すのはもちろん、丈詰めなども行なえます。それに加え、ここでは常に新しいアイテムをつくって店頭に並べていきます。リメイク服のセントラルキッチンみたいなイメージですね(笑)。
森 「Re:circle STUDIO」はリメイク用ミシンが4台置いてあるスタジオで、先ほどお話した「Re:circle GALLERY」と併設してお店の真ん中にドカンとあるんです!ここでは上田安子服飾専門学校さんと提携して学生さんたちにリメイクや作品販売までやってもらうことになっています。
―学生さんのフレッシュな感性を取り込むことで、今までにないアイテムもどんどん生まれていきそうですね。
森 学生さんやお客さんと一緒に創っていきたいんです。僕たちはヒューマンフォーラム(素晴らしき仲間の集い)として森に集まるみんなと繋がって仲良くしていきたいんですよ!
出路 僕らはそういう関係性を築いていきたいんです。規模は大きくなったけど、根っこの部分は変わりたくない。僕が店頭に立っていた時は、「いらっしゃいませ」ではなく、「いらっしゃい」と言い続けてた(笑)。僕が変わり者だったというわけじゃなく、10、20年前はほとんどの古着屋がそんな感じだった。僕はそういうフレンドリーな関係性が楽しめるのも古着屋の魅力だと思っているから、今の子たちにも感じてほしいと思ってるんです。ショッピングしに来るだけじゃなく、あの人としゃべりたいから『森』に行こうと思ってもらえるようなショップが理想的。でも昔はよかったなと後ろばっかり向いてたら何も始まらない。それやったら失敗を恐れず僕らでどんどんオモロいことやっていこうって。「ちょっとアホやな」って思われるくらいが僕らには丁度いいんですよ(笑)。
ーオープンまであと1か月ですが、新しいコンテンツなど他にありますか?
出路 古着だけじゃなく、POPUPイベントも充実させる予定です。″森″ 的に、いまおもろい!と思うブランドさんや、アーティスト、クリエイターさんのPOPUPSHOPを月1くらいで開催しようと思っていて、オープンのタイミングは「インターネット時代のワークウェア」をコンセプトに、ストレスからヒトをカイホウするプロダクトを発信し続けるALL YOURSさんのPOPUPや、2018年からリスタートしたmontageさんを中心に複数ブランドをセレクトした【MashupsMarket】の展開を予定しています。ブランドさんとのコラボアイテムの企画なんかも進んでいるので、次回はそのあたりも詳しくお伝えできればと思います。
MashupsMarket
90年代ストリートカルチャーを形成し今もなお支持されるブランドと、90年代カルチャーに影響を受けた2010年代以降のブランドが融合するPOPUP SHOP。 参加ブランドはmontage / PLMP/ UNSTANDARD/ VIRGO wear works を予定。
出路雅明
全国に展開する古着屋『スピンズ』をはじめ、雑貨や飲食店などを手掛ける「ヒューマンフォーラム」の代表取締役会長。“ちょっとアホ”をモットーにした大胆なプロジェクトを連発する。
森 明憲
アルバイト時代から数えること13年目。斬新なコンテンツが盛り沢山な『森』の発案者にして、店長を任せられた同社の若きエース。古着と地元·大阪に対する愛情は人一倍強い。
井垣敦資
さまざまなプロジェクトのディレクションを手がける、出路会長の右腕的存在。『森』では古着をベースに日本の伝統技法を用いてアップデートさせるオリジナルブランド<メンド>をプロデュースする。
▼NEXT ISSUE…..
「古着だけじゃない! 森の更なる魅力を発掘。」
次回は オープン直前の『森』の店内にてインタビュー。店内で展開する様々なコンテンツを紹介します。お楽しみに!
※3月8日 配信予定
森
オープン : 3月16日予定
住所 : 大阪市北区中崎町西2丁目 梅田センタービル山側 チェルシーマーケット内
URL : mori.market
Instagram : @mori.market_official
Twitter : @mori_market
Facebook : www.facebook.com/535482560305111/
ヒューマンフォーラム
URL : www.humanforum.co.jp
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