2018.10.28 Sun
#Osaka
THEモンゴリアンチョップスがバンクーバーへ!? 海外のランウェイで躍動したTMCコレクション
9月17日-23日にかけて、カナダ・バンクーバーで開催されたファッションの祭典「バンクーバーファッションウィーク」。そんな北米を代表するファッションウィークに、大阪・新世界発<THEモンゴリアンチョップス>が参戦。彼らにとって初めてとなる海外発表で、世界中のファッションピープルが注目するランウェイという大舞台。そんな<THEモンゴリアンチョップス>にとって新たな挑戦となった「バンクーバーファッションウィーク」を振り返ってもらいました。
THEモンゴリアンチョップス
(左から)代表の安藤仁彦さん、ディレクターの山本健太さん(以下安藤、山本)。同じ専門学校を卒業後、それぞれ別のアパレル企業で経験を重ね、ZINE制作を経て2013年に同ブランドをスタート。スピンオフブランド<BOKU HA TANOSII>も絶好調。http://themongolianchoppsss.com
ー「バンクーバーファッションウィーク」を終えて、率直な感想を教えてください。
山本 めちゃめちゃ疲れました(笑)。
安藤 疲れたけど、終わった時は達成感あるし、今回はチームで行ってたので、それをみんなで共有できるのもよかった。本当に良い機会をもらえたなっていう感じです。
ーしかも、ランウェイでは大トリだったそうですね。
安藤 そう。スケジュールが届いてみたら、最終日のトリでした。何やらかすかわからんって事でとりあえず最後に回されたのか、理由は定かではないですが(笑)
ー大トリのプレッシャーは?
安藤 変にプレッシャーを感じることはありませんでしたが、どうしても意識はしていましたね。でも逆に良いモチベーションにもなりました。
ーそもそも「バンクーバーファッションウィーク」というのはどういうファッションウィークなのですか?
安藤 基本的には北米のブランドが多いですね。今回は、全部で88ブランド参加していました。その中で日本は6ブランドかな? 他にもアジアとかヨーロッパのブランドもありました。それを、1週間かけてそれぞれのブランドがランウェイの形で発表していきます。
ー参加しているブランドは、<THEモンゴリアンチョップス>のような若くて勢いのあるブランドですか?
山本 若いブランドっていうわけではないですね。僕らを含めて、尖っているというか、あまりメインストリームじゃないブランドが多いですね(笑)。ジャンルも割とバラバラで、面白かったです。
ー ランウェイという形での発表というのは、<THEモンゴリアンチョップス>にとって初めてですよね?
山本 そうですね。ランウェイもはじめてだし、海外で発表するというのも初めて。でも、もともとファッションショーという形式で自分たちがやっていることを発表するということに関しては興味があったから、話をもらった時には、時間がギリギリやったけど、やってみる価値はあるかなと前向きでした。
安藤 <THEモンゴリアンチョップス>として、先シーズンでちょうど10シーズン終わって、「どうしようか」って言うてるところでファッションショーの話が来ました。まぁ、新しい挑戦という意味ではお金もすごくかかるし、バックがどれだけあるのかも正直わからないけど、やってみる価値はあるんかなと。色々慣れてきてしまって、単純に自分たちが上がれるイベントっていうのがなくなってきたというのも正直あって、僕らも刺激を欲していたんです。
ーオファーが来たのはいつなんですか?
安藤 確か6月末ぐらい?
ー2~3ヶ月しかないですね(笑)。そんなタイトなスケジュールで準備するんですね。
安藤 いや、普通は多分もっと長いと思います。
山本 せめて半年は欲しかった。あまりにも時間がなさすぎて、みんなにランウェイやるっていう報告もできずに行きました。
ー初めてのランウェイでスケジュールもタイト…。大変ですね。ランウェイ用に服を作ったと聞いたんですが、たった2ヶ月で作れるなんて驚きです。
山本 いやーびっくりしました。僕らもある意味発見というか。2ヶ月で服できるんやって(笑)。ブランドをスタートした時からお世話になっている工場さんであったりとか、職人さん、そういうお世話になった人たちにお願いして、(バンクーバーに)持っていきたいっていうを想いを伝えると、普通の納期では考えられない納期であげてくれました。そういう面で助かりましたね。早かったよな~。
安藤 うん。早かった。でも、このファッションショーっていう発表形式は生産に関わってくれた人たちもすごく喜んでくれましたね。
ー今回、お2人に加えて<ザ ユニオン>の牧田耕平さんや『IMA:ZINE』の谷 篤人さん、スタイリストの中島達也さん、ヘアメイクのHAKAHさんといった大阪を拠点に活躍しているメンバーも一緒に行かれたと聞きました。
山本 オファーが来た時は、チームでやろうという構想はありませんでした。でも、全てが初めて過ぎてて、何からやったらいいのかすらわからない状況で…。なので、ブランドを始めた時から何かある度にお世話になっている、耕平さんにまず相談してはじめて、ヘアメイクとスタイリストは必要やなというのがわかったり…。
安藤 服を作れるけど、トータル的なビジュアル作りは僕らだけではできないことなので。
ーそこで、スタイリストは中島達也さん、ヘアメイクはHAKAHさんにオファーされたんですね。
山本 ですね。というのも、ナカジ(中島達也)とHAKAHくんにお願いした<THEモンゴアンチョップス>の2018AWのルックを(バンクーバーファッションウィーク)の運営チームが見てくれたというのがきっかけでオファーをもらったんです。耕平さんには映像と音楽の部分を主にお願いしました。谷さんには、プロモーションの部分で協力してもらいました。現地では、Instagramで生配信してもらったり。
※2018SSのルックはこちら。
ーなるほど。ランウェイ経験が豊富なHAKAHさん然り、大阪の顔でもある牧田さんや谷さんが同行するのは心強いですよね。
山本 僕らはチームで何かやったりというのが、苦手というか、基本僕らだけでやっちゃうので。でもこの規模になるとチームじゃないと無理なんやなっていうのが、終わってからですがわかりました。やっぱり任せられるんで。おかげで、僕らは服作りに集中させてもらえました。
安藤 出来上がった服を使って、チームですり合わせができたのも良かったですね。そこで、色々削ぎ落とされたり、新しい要素が加わったりで、僕らだけではできないものになりました。
ー大阪チームというのも良いですね。
山本 大阪発信で世界で発表するっていうのが、将来、大阪のファッションにおいて、何かプラスになったらいいなっていうのは、今回で芽生えました。もともとそんな大それたことは思っていなかったけど、チームになって、他のメンバーに影響されましたね。
ーバンクーバーファッションウィークを通して、苦労した点は?
山本 もう、全部(笑)。
安藤 そうやな(笑)。
山本 オファーもらってから本番までが本当に時間なかったのもそうですし、あとは、運営とのやりとりも大変でしたね。ランウェイに必要なものが多すぎて。全く知らなかったんですが、「写真をくれ」とか「ヘアーはどうするんか」っていうのも、けっこう早い段階で送らなあかんくて。そういう、事務的なやりとりが意外と大変でした。
安藤 そう、けっこうあった。しかも時差があるから、余計時間がかかるっていう…。あとは、台風21号で関空が閉鎖されたことで、航空券のやりとりもあったし。最後までずっとそこ(事務的な部分)に振り回されました。行かれへんかったら、どうしようかと(笑)。
山本 結局、出発が9月21日やったんですが、その日に関空が復旧して奇跡的に行けました。
ー現場では?
山本 予定していたモデルが5人来ませんでした(笑)。
ーえ?そんなことあるんですか?
安藤 単純にブッチするやつもいたり。帰ってもうたとか(笑)。
山本 日本ではあまり考えられないですが、HAKAHくんからも普通にそういうことがあるというのは聞いていたんですが、本当に来ないとは…。
ーどうしたんですか?
山本 別のショーに出ていた時間のあるモデルにその場で交渉しました。予定したメンバーではなかったけど、結果、グレードアップしましたが(笑)。
ー海外ならではですね…。現場はけっこうヒヤヒヤですよね。
山本 もうヒヤヒヤする時間もないぐらいですね。常にバタバタしていました。だからあんまり記憶がないんです。
安藤 そんなトラブルに加えて、僕らの出番は本来は20時15分からだったのに、30分くらい前倒しになってしまって。まだ何も準備していない段階で、運営側から「5min!」と言われて(笑)。「絶対無理やん」みたいな。
山本 でもそんな時、運営と耕平さんが交渉してくれて。結果、10分の伸ばせて「なんとかイケる!」ってなりました(笑)。本当にみんなに助けられました。
ー無事、やりたいことはできたんですか?
山本 とりあえず、やりたかったところまではイケたかなと。まぁ、HAKAHくんやナカジはもう一発やりたいことあったかもしれないですが。
ーランウェイのモデルは涼しい顔して歩いてるからわからないですが、裏側ではバタバタなんですね。滞在中はずっと遊ぶ間もなく忙しいんですか?
山本 いや、けっこう遊びました(笑)。
安藤 実際は、同日に集中して準備するだけやったんで。当日は朝からずっとでしたが、他の日はけっこう、ほのぼのしてました(笑)。種からポップコーン作ったり、肉買ってきて焼いたり。
山本 向こうにしか売っていないチョコレートが100個ぐらい入ったアソートパックみたいなのを買って、食べちゃうみたいな。その結果、ナカジのメバチコが破裂しました(笑)。ランウェイ本番の次の日はオフやったんで、その日は山や湖行ったり…。で、「お疲れした!」みたいな。
ーまた(ファッションウィーク等に)参加したいですか?
安藤 とりあえず、今は一息つきたいかな(笑)。
山本 うーん、機会があれば。でも、やるならまた海外がいいですね。日本でやったことないけど(笑)。海外は、僕らのことを全然知らない人ばかりだから、めちゃめちゃフラットに見てくれるんで。ランウェイ終わってからモデルが全員表に出て、写真を撮れる時間があるんですが、お客さんがめちゃめちゃテンション上がってくれて。僕らとしては、それがすごい面白かったし、よかったなぁと思いました。
バンクーバーファッションウィークを経て、<THEモンゴリアンチョップス>が今後どんな進化をするのか、僕らもとても楽しみです。ひとまず、お疲れ様でした!
「貴重愛」をテーマにコレクションを発表。
一部商品化も予定
バンクーバーファッションウィークでは、基本的にはすべてランウェイ用に制作したアイテムを発表。「あくまでもランウェイ用。売るっていう部分を考えずに、ただ、僕らが見せたいもの見せたいものを作ったので、ランウェイ映えというか派手なアイテムが多いです」と安藤さん。“HAPPY寿司”をはじめ、日本の文化も魅力を存分にアピールした、モンゴリらしいアイテムは必見です。一部は2019SSで商品化されるとのことなので、お楽しみに!!
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