2018.09.30 Sun
#Osaka
新天地の天満で新境地のアニメ!?
kurryさんが思い描くこれからのコト
『rroomm』の新店として京都にできた『lloomm』のオープン記念アイテムをはじめ、『ピグスティ アメリカ店』の壁面のアートやコラボロンT、『グリズリー堀江本店』のネオンサインに自転車メーカー〈FUJI〉のノベルティTシャツetc……。これらはあくまで一部だが、09年にグラフィティアーティストとして活動を始めて以降、制作や個展と並行してショップやブランドとの協業をコンスタントに展開。ステンシルやハンドペイント、シルクスクリーンを駆使しながら時にシュールに、時にシニカルに、時にピースに、まさに硬軟自在にポップアートを生み出すkurryさん。
モチーフのチョイスも秀逸だ。キューバ革命の英雄や白髪の世界的ファッションデザイナーなどに、「これはどういう?」と問わずにはいられないストーリーを加えて圧倒的なオリジナリティを見せる。とはいえ、決してキレッキレでクリエイティヴに臨んでいるわけではない。必要以上にアゲることなく、真摯に作品と向き合っているのだ。C調ではないところも変わらない。そんなkurryさんに話を伺うため、今年の始めに東心斎橋から天満の雑居ビルへと移った新しいアトリエにお邪魔した。
身近に感じ取れるアートの世界。
「歳を重ねたというのもあって、若い頃のようにこれすごいなぁ~ってびっくりすることがなくなってきているような気がしてて。これから先、オモロイことするの大変やろうなって思います。今の時代、ほっといたらいろんな情報がなだれ込んでくる。自分の中に入る情報をある程度制御しながら、平常を保てるようにしときたいですね。自分を良く見せようとかじゃなく、ありのままというかね。街中からこっちの静かな場所に移ってきたのは、そういうこともひとつにあって。寂しい気持ちもあるんですけどね(笑)。純粋に表現することが難しい時代だからこそ、自分らしくがんばろうかなと思ってます」。
饒舌なタイプではないゆえ、ともすれば悶々としている印象を与えるかもしれないが、本人はいたって前向きだ。「久し振りに個展とかもやりたいなぁ、ぼちぼちテンションをアゲていかんとなぁって。それにさっきのありのままという話で言えば、風景画にも取り組んでみたい。大阪の街というよりも、あえて東京とかNYとか。あとは最近子供と一緒にアニメを観る機会が増えて、その流れで高畑 勲さんやっぱすごいなぁとか、『じゃりん子チエ』よ~できてるわと。僕もアニメーション作りたいなぁって思います。前に300枚ほどの絵をスキャンして10秒程度の動画を作ったことがあるんですけどね。時間かかると思うけど話も全部自分で考えて、30分くらいのを作ったら上映会とかしたいですね」。
いい話を聞けた。Kurryさんの新境地ともいえる次のステージ、首を長くして待とうではないか。面白くないわけがないんだから。
街で見かけるKurryさんのアート
本誌でもお馴染みの人気古着屋でKurryさんのアートワークが楽しめる。『グリズリー アメ村店』ではシャターに、『ピグスティ アメリカ村店』では、エレベーターを降りてスグの壁面にそれぞれ彼の作品がある。間近で楽しめるアートとしてオススメしたい。
kurry
尼崎市出身。中の島美術学院中退後、アルバイトを転々としながらどこかモヤッとした日々を過ごす。09年より本格的にアーティストの道へ。来年で活動10周年を迎えるが、昔も今もマイペースなスタンスで制作に向き合う。オンライン(http://chienoah.jp)で作品を販売中。
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